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第6話 異世界の性別
結論から言えば、エルダーさんのいるこの世界は、日本……いや地球ではないらしい。
崖から落っこちた僕は、なぜかエルダーさんのベッドに転移したようだ。
異世界であるのになぜ日本語が通じるのか謎過ぎるけれども、意思疎通ができることは不幸中の幸いだった。
「昔はしょっちゅうΩに迫られていたから、君のことも手荒に扱ってしまったんだ。私はαの『欄外』なんだけど、生まれて初めてコントロールが効かなくなるほどのΩのフェロモンを感じたよ。こんなことって、本当にあるんだね」
「ええと、すみません。先ほどから何をおっしゃっているのか、意味がわからないのですが」
恐らくエルダーさんがなぜ僕を襲ったのかを、説明してくれているのだろう。
予想はつくが、慣れない言葉の羅列に僕はさっさと白旗を振る。
「性別の話だよ。イヅルはΩだろう?」
「オメガ……? いえ、男ですが」
この世界は男女ではなく、α、β、Ωという三つの性別がある世界だそうだ。
確認したところ、αもβもΩも全て外見的特徴は地球で言うところの「男」。
この世界では、精液をお尻から摂取することでその精液に適した子宮を育てて、最終的に子を孕むらしい。
その能力に優れているのがΩで、人口の十分の一くらいの比率で存在し、逆に子を孕ませることはほぼない。
子を孕ませる能力に長けているαはΩと同じくらいの比率で存在し、子を孕むことはほぼできない。
人口比率としてはβが一番多く、子を孕ませることも孕むこともできるが、種の着床する確率が極めて低い。
だからこの世界では重婚が認められており、αとΩでの夫婦はもちろんのこと、Ωは他にたくさんのβを囲うし、同じくαも他にたくさんのβを囲う。
子を孕むことが可能な時期のΩはとても良い香りがするが、βはその香りを感じず、αだけがその香りを感じることができる。
Ωとαが持つ香りをフェロモンと呼び、それによって容易に相手の身体を発情状態にすることができる。
日本の同性愛がマイノリティだとすると、α同士やΩ同士のカップルがマイノリティになるようだ。
とはいえ、マイノリティカップルでもこの世界であれば日本の同性愛とは違って子が出来る可能性はゼロではない。
僕のように悩む人たちがいない世界ならば、それはそれで幸せかもしれない……そう思っていたら、そうではなかった。
やはり、例外が存在したのだ。
「『欄外』というのはね、Ωのフェロモンを感じることができずに発情しないαや、αを発情させられないΩのことを言うんだよ。一応αやΩだけど、性別としては欄外……みたいな、ね。友人としては良くても、パートナーとしては無価値なんだ」
「それって……あまりにも、酷いです」
なんだ、それ。
怒りで血が沸騰した気がした。
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