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第13話 身勝手な想い
「へぇ……エルダー様はやっぱり、ラットになるんだね。欄外っていう話は、相手にされなかったΩの流した嘘話ってところか」
「なりますけど、でも……!」
けれど、エルダーさんを好きなら、最初から欄外かどうかなんて関係なく、普通に告白すれば良かったじゃないか。
エルダーさんとの行為は確かに癖になるくらい気持ち良いけれども、今はただ一緒にいるだけで幸せだと心から思う。
エルダーさんを種馬としか見ていない人たちのせいで、彼が傷つくところを見たくはない。
「発情するなら、異世界人のあんたの出番はもうないよ。エルダー様の後ろ盾になるような、この国の貴族を娶ったほうがいいに決まってるだろ?」
文句を言おうとして開いた僕の口はそのまま固まり、言葉が出てこなかった。
貴族社会だと言われても僕にはピンとこないけど、それは、そうなのかもしれない。
「まあ、あんたは異世界人で行く場所ないもんね、離婚しろとは言わないよ。僕がエルダー様と一緒になったらほとんど相手はして貰えなくなるだろうけど、同じ屋敷に住むことくらいは許してあげるよ」
しかし、頭の中で目の前の彼に優しく微笑みかけるエルダーさんを想像しただけで、僕の胸にはどす黒い何かが渦巻いた。
これは、嫉妬だ。
エルダーさんが彼らのせいで傷つくことは、嫌だけど。
エルダーさんが彼とも結婚することで、自分が傷つきたくないんだ。
僕は、エルダーさんを独り占めしたいんだ。
僕たちは契約結婚なのに、なんて身勝手なんだろう。
知らない世界に来てから初めて優しくしてくれたエルダーさんに、どうやら僕は執着してしまったらしい。
……それは、よくない。
重婚が当たり前の世界なのだから、自分勝手な理想でエルダーさんを縛ってはいけないし、彼が誰かと結婚することになっても、祝福するくらいの心の広さを持たないと。
「――というわけで、エルダーさん。もし他の方と結婚したいと思ったら、遠慮なくおっしゃってくださいね」
その日、僕が知らない男の人との会話の内容を報告をすると、エルダーさんは笑顔のまま固まった。
「ひとまず、その余計な話をイヅルにした奴の部署と名前を教えてもらってもいいかな?」
「わかりません」
「じゃあ、身体的特徴とかどんな顔とか髪の色だったとか」
「エルダーさん、ひとまず誰に言われたのかは置いておいて。やはり僕は、エルダーさんに甘えすぎていたんだなと反省しました」
僕がそう言うと、エルダーさんは悲しそうな顔をした。
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