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ジャスト・フレンド(6) 佐伯視点 性描写有
佐伯と司は、ともに全裸になって向かい合っていた。手を伸ばせば触れられる距離に司のすべてがある。
熱めのシャワーが体を濡らす。先に触れてきたのは司だった。
「先生の体、逞しいですね。こんなに筋骨隆々とした体を見るのは初めてです」
先ほどとは打って変わって無邪気な笑顔。佐伯の落ち着いていたはずの分身が再び力を取り戻す。
「先生……」
佐伯は自分から司に口づけしていた。唇に力強く吸い付く。もう我慢はしない。
「性的なことはしないって約束したんじゃ……」
「君が悪いんだよ、弓岡君。いいや、司。こんなことになった以上、毒を食らわば皿までだ!」
そう言って、力の限り強く抱きしめる。司は佐伯の豹変ぶりに慌てているようだった。
「先生、ダメです。取り返しがつかなくなりますよ!」
「構わない。君となら一緒に地獄へ落ちれる」
最初はもがいていた司も、佐伯の愛撫によって体を開いていった。空想と同じように、指と舌で全身を味わう。そのたびに司は甘い声を上げた。
「感じてくれるんだね。嬉しいよ」
司の秘所も柔らかくほぐす。佐伯は今にも漏らしてしまいそうなくらい興奮していた。そして、司をがんじがらめにする。
「司、一つになろう」
司はこの期に及んで首を横に振る。きっと熊谷に対して申し訳ないと思っているのだろう。それが腹立たしい。
「恨むなら軽率な自分にするんだな。これは私のお仕置きだよ」
先端がめり込んでゆく。司が痛そうに顔を歪めた。これでは無理強いしているみたいで、佐伯の美学に反する。そこからは口づけや愛撫で司の体を解きながら、優しく挿入していった。
「やっと一つになれたよ。司の中は温かいね」
司が顔を赤らめる。それが堪らなく可愛くて、佐伯は顎を持ち上げて口づけをした。
「今夜のこと、ずっと覚えておくよ。司にも忘れられない夜になるだろうね」
司があの男とどんな愛し方をしているのか、もちろん佐伯には知る由がない。けれども、司に自分の体を覚えさせて、忘れられなくする自信はあった。自分の体臭と同様に。
もう限界が近づいていた。司に対する愛おしさが股間へと集中する。
「もういくよ。司の中に出していいね?」
司が拒む間もなく、佐伯は中に漏らしてしまった。つい先ほど司にいかされたばかりなのに、それは枯れることを知らずに次から次へとあふれてくるのが分かった。
司もまた漏らしてしまったらしい。カクカクと脚を震わせ、佐伯にしがみついていた。
スポンと音がして体が離れる。司はプイッと横を向いた。
「先生、ひどい……」
「これで君は私と同罪だ。それとも君の方が罪は重いかな。あの男がいながら、私に抱かれてしまったのだからね」
司は気まずそうに俯いている。所詮、未熟な少年に過ぎない。年上の佐伯に勝てるはずが無かった。
「もし熊谷先生に言ったら、今日のこと皆に言います」
「ならば私は、君と熊谷先生の関係を暴露してやろう。どうだい? このゲームは初めから私の勝ちなんだよ」
もちろん、勝ったところで佐伯が失うものは大きい。優しく司を抱きしめる。
「安心しなさい。私はそんな愚かなゲームはしないよ。今日のことは司と私の秘密だ」
司が安堵して体を委ねる。そして、口づけ。佐伯は身も心も満たされて、程良い疲れを感じていた。こんなことになるなら、最初からつまらない意地なんて張るんじゃなかった。今さらながら少し後悔した。
※
「意外と手間がかかるんですね……」
レザージャケットにブラシをかけながら、司が顔を上げる。テーブルには手入れに必要なクリーナーやクリーム、防水スプレーが置かれていた。
「毎日の手入れがレザージャケットを長持ちさせて、5年も10年も着られるようになるんだ。私だと思って、大切に着てほしいな」
佐伯は司のおぼつかない手つきを優しく見守る。もう二人とも服を着ていた。
「……匂いが染みついています」
「ああ、毎日着ていたからね。司の大好きな匂いだろ?」
司は遠い目をして頬を赤らめる。それでも、すぐにかぶりを振った。
「熊谷先生の前では着ないです。怒られますから」
「その程度で怒るような器の小さい男は見限った方がいい。私の方が司にはふさわしいのだから」
司が膨れっ面をする。けれども、その眼差しはずっと穏やかだった。堪らず、佐伯は口づけをする。
「先生!」
「私はもう君の先生ではない。名前で呼んでほしいな」
司が逡巡するのを、佐伯は視線で催促した。
「じゃあ……攻 さん?」
「そうだ。嬉しいよ」
もう一度、唇が重なる。今度は舌を絡めて。司は拒まなかった。
「まったく、君は無防備過ぎる。他の男に目をつけられないか心配だ」
ミイラ取りがミイラになる。あの男の言葉どおりになってしまった。いや、もしかしたら自分は最初からミイラだったのかもしれない。司の甘い毒の虜になった……。
「私は君の将来が末恐ろしいよ」
司が吹き出す。「僕はそんなに怖くないですよ」と言って。同じ十字架を背負った私の可愛い「友達」。佐伯はその時初めて、心から笑えたような気がした。
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