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心を開いて(5) 刀視点 性描写有
「先生、大丈夫ですか!」
体を揺すられて、刀は目を覚ます。そこには切羽詰まった顔をした司がいた。
「……司、本当に来てくれたんだな」
「部屋に入ったら、先生が横たわっていたのでビックリしましたよ。無事で良かった」
そう言って、司は胸を撫で下ろす。どこまでも優しいな、と刀は思った。
「何があったのですか? 僕で良かったら、話してくれませんか?」
司が刀の頭を撫でながら、慈しむような眼差しで見つめてくる。こいつの前では嘘をつきたくねぇ。刀は全部打ち明けたい気持ちになった。なのに、相川の名前を口にしようとしただけで胸が詰まり、涙があふれてくる。
「先生、無理しなくていいよ。僕は待っているから」
そう言って、司は刀を包み込むように抱きしめる。相川ほどではなくても大きくて温かい体。刀は縋るように甘えて、気持ちを落ち着かせた。
「……俺、浮気したんだ。司の知ってる奴と」
司は黙って刀の告白を聞いていた。表情は変わらず、怒っているのか分からない。しばしの沈黙。そして、何かに気づいたように口を開いた。
「相川ですか?」
刀はこくりと頷く。大きなため息が聞こえた。
「気の迷いだったんだ。クリスマスに司がいないのが寂しくて『マスカレード』に行ったら、あいつがいて……女にされた」
司が目を瞠って驚きを露わにする。それでも取り乱したりはしない。慎重に言葉を続けた。
「僕はいつか、先生が相川を好きになるんじゃないかって思っていました」
不思議顔の刀に、司は頷いてみせる。
「まさか相川が男を抱くなんて想像もしなかったですけど」
「あいつは飢えていたんだ。穴があれば誰でも良かったのさ」
刀は嘲るように笑う。なのに自分は夢中になってしまった。相川の就職先を見つけ、肖像画まで描いてしまった。相川だって一時の気の迷いで、帰る家族がいるのに。
そこまで話して刀は号泣する。司の前では遠慮なく泣けた。
「呆れただろ。こんな俺、見捨ててもいいんだぞ」
口ではそう言いながらも、内心では怖かった。司に見捨てられたら、もう自分を好きになってくれる男なんていない。刀は司の腕の中で審判の時を待った。
「先生にこんな辛い思いをさせたのは僕です。僕には先生を慰める責任があります」
「でも、俺……」
「先生は、僕のすべての色を愛すると言ってくれたじゃないですか。僕だって、先生のすべての色を愛したい」
真剣な眼差しが刀を射貫くように見つめる。そこには何の迷いもない。刀の唇が震える。司は口づけを落とした。刀は夢中で吸い付いて舌を求める。司も刀の舌を吸い返した。
唇が離れると刀は懇願した。
「司、頼みがある。俺を抱いて欲しい」
「……僕が、先生を抱く?」
「相川のこと、忘れさせて欲しいんだ」
司は戸惑いを露わにしていた。当然だろう。これまでずっと抱かれる側だったのだ。もちろん、経験だってあるまい。
「僕は下手だから、先生を余計に傷つけるかもしれませんよ。それでもいいですか?」
「ああ、司に傷つけられるなら本望だ。何をされたって我慢する。だから、俺を抱いてくれ」
拒まれたら、それっきりこの関係も終わりだと思った。司に無理強いしてると分かっていても。
司は言葉にする代わりに、刀をありったけの力で抱きしめた。5cm大きな体に包まれて、刀はうっとりする。
「先生を抱くよ。後悔しないでくださいね」
そう言って、自分の服を脱ぎ始める。刀も脱ぎ始めた。そして、お互い一糸まとわぬ姿になる。すでに司の一物は屹立していた。相川よりも大きいそれを見て、これが中に入ったらと想像するだけで、刀の秘所はきゅんと疼いた。
「僕は先生を相川から取り戻してみせます」
司は刀を万年床に押し倒し、体に舌を這わせる。首元や胸、腹、脚に至るまで、全身を隈なく愛撫した。甘い痺れが駆け巡り、刀は甲高い声を上げた。
司の舌は刀の秘所にもたどり着いた。
「傷ついてるじゃないですか……」
「汚いから舐めなくてもいいぞ」
「濡らさなきゃダメですよ。先生だって、いつもそうしてくれるじゃないですか」
ピチャピチャと音を立てて、秘所が濡らされる。そう、司は刀の愛し方を踏襲してくれているのだ。嬉しさに涙が滲んでしまう。
「ほぐしますね」
その言葉を合図に指が入ってくる。おそらく小指だろう。難なく受け入れた。次第に指を変えたり、2本に増やしたりして、刀の秘所は広がっていった。
「司のをくれないか。俺がたっぷり濡らしてやるから」
司が逆向きになって、自分の股間を刀の顔に宛がう。ぶら下がる一物を、刀は口いっぱいに頬張った。
執拗に舐められて、すっかり秘所が蕩けた頃、司は再び刀と顔を向き合わせた。
「痛かったら言ってくださいね」
「ああ。でも、司のためなら我慢するよ」
唇が重なる。刀はとっくに覚悟を決めていた。
秘所に太いものが宛がわれる。司は先端をゆっくりと入れてきた。軋むように穴が広がってゆく。相川でようやく慣れてきたとはいえ、やはり入ってくる時は痛い。刀は固く目を瞑った。
「先生、大丈夫?」
「大丈夫だ。続けてくれ」
司が入ってくるたび、刀は大きく息を吐いて体を緩めた。司も慎重に入れてゆく。自分で入れられる痛さを知っているからだろう。その気遣いが刀にとっては涙が出るほど嬉しかった。
「……根元まで入りましたよ」
刀が目を開くと、司は全身汗まみれだった。それくらい緊張しているのだろう。
「先生の中、温かいですね」
司が感慨深げに微笑む。そういえば、こんなに太いのを入れられているのに、一度も激痛は走らなかった。あらためて心がじんわりとする。
「動かしていいんだぞ。司を全部くれ。俺を壊してもいいから」
刀は自分から腰を押しつけて、おねだりする。司は一瞬ためらいながらも、意を決して腰を動かし始めた。
どんなに濡らしても、動かされると摩擦で痛みが走る。そんな刀の表情を読み取りながら、時にはゆっくり、時には激しく司は腰を動かした。何度も唇を重ねては、刀を高めてゆく。次第に体の奥がむずむずして、もっと欲しいと思えるようになった。
「入れられるのって、こんなに気持ちいいんだな。病みつきになりそうだ」
「先生、僕も気持ちいいです」
司の腰の動きが早くなる。やはり、どんなに甘えん坊でも男なのだ。気持ち良さのあまり、本能のままに腰が動くのだろう。腸壁を広げられて、刀は喘ぎ声を漏らした。
「先生、感じてくれるんですね。嬉しいです」
「気持ちいいよ。もっと奥まで入れて」
刀は肌を密着させる。一つの体になろうとするように。
「先生、ダメです。もう出ちゃいます」
「いけよ。俺の中にたっぷり出してくれ」
司が必死に腰を動かす。そして、「ああ!」と短い呻き声を漏らして、体がピタッと止まった。これまでに刀が見たことのない雄の顔。中にたっぷりと精を吐き出しているのが感じられた。
すっかり出し切ると、司は照れ臭そうに笑う。刀は我慢できずに自分から口づけをした。とても満たされた瞬間。こんな経験は初めてだった。
「抜きますね」
そう言って、司が一物を引き抜く。途端に悪臭が広がり、刀は慌ててタオルで拭き取ろうとした。それを司の手が優しく制する。
「後始末は僕がしますよ。先生は横になってください」
司は自分の汚れを拭き取ると、刀の汚れもきれいに拭き取った。ただ、いつものように切れてしまったのだろう。赤い染みがついたタオルを見て顔を曇らせる。
「僕が下手だから、先生を傷つけちゃいました……」
「気にするな。これくらいなら平気さ」
刀は安心させようと軟膏を見せる。司は取り上げると、刀の傷口に優しく塗りこんだ。
「ダメだよ。そんなに優しく触れられると、また欲しくなっちまうだろ?」
それでも司は指を止めない。むしろ、まだ大きくなったままの刀の一物に気づいて、口に含み始めた。
「司、ダメだったら……」
まるで揶揄うかのように、司は刀の反応を確かめている。気がつくと司の一物も元気を取り戻していた。
「もう一度、入れてくれないか」
懇願する刀に、司は口づけで応えた。
※
すべてが終わり、刀は司に腕枕をして貰っていた。腕が痺れるから断ろうと思ったのに、司の方から申し出たのである。すっかり安心しきって、その大きな体に身を委ねていた。
「もう、気持ちは落ち着きましたか?」
「ああ、司のおかげだ。ありがとう」
こんなに優しい司がいるのに、どうして自分は浮気してしまったのだろう。刀はあらためて自分の軽率さを呪った。
「佐伯とは何かあったのか?」
「……何もありませんよ。ただ、家族と一緒に食事をして、プレゼントを貰っただけです」
司が本当のことを言っているのか分からない。かつては傘を持っていないのに持っていると嘘をつかれたことがある。けれども、今は疑っちゃダメな気がした。
「これからは、いつでも先生のそばにいます。だから遠慮なく呼んでくださいね」
そう囁く司の顔は、とても逞しく見えた。刀の方がずっと年上なのに、つい甘えてしまう。
「そうだ、これはもう捨てなきゃな」
刀は体を起こし、カバンの中から額縁に入った肖像画を取り出す。司が「わあっ」と感嘆の声を上げた。
「見たくもないだろ。もう、俺たちには関係ないんだ」
刀は額縁を外して絵を破こうとする。それを司が止めた。
「良い絵じゃないですか。大切に飾っておきましょうよ」
「でも、司だって気分は良くないだろ?」
「いつか、先生の絵を世に送り出す時に、大切な一枚になるじゃないですか」
刀がハッとした表情を見せると、司はニヤリと意味深な笑みを浮かべた。
「先生の描く絵は、僕にとってもマスターピースなんです。だから捨てるだなんて言わないでください」
「そこまで、俺のこと考えてくれてるんだな」
刀はそんな司の気持ちが嬉しくて、また泣いてしまった。
「もう、泣かないでください。僕は先生の笑顔が好きですよ」
その言葉に押されて、刀は笑顔を浮かべようとする。それでも、しばらく涙は止まらなかった。
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