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番外編① プレイヤーではじめまして⑨
宿の滞在上限時間が近づいてきて、俺とシュンは装備を身につけた。身体を一瞬で清められるから、仮想空間は最高だ。
あれから何度も交わりナカに注がれまくったザーメンも綺麗さっぱり無くなっている。少しもったいない気はしたが、どうせログアウトしたら消えるのだ。また注いであげるね、とシュンが言ってくれたし。
ちなみに結腸責めはあの1回だけにしてもらった。気持ちよすぎてまたやったら強制ログアウトを食らうのが目に見えていたからだ。またやろうね、と言われたことを思い出し、下腹部がじわりと熱くなった。
部屋のドアを開けるシュンが、俺の腰を抱いてこめかみにキスをしてくる。俺はふと浮かんだ疑問を口にした。
「シュン、今日はなんかすげーキスとかしてくるよな。舐めたりとかも、NPC姦プレイのときは全然してこなかったのに」
何度も抱かれ様々なプレイをしてきたが、彼は手淫や挿入しかしてこなかったのだ。なにか心境の変化でもあるのかと思い聞けば、シュンがくす、と笑って俺の唇を啄んだ。
「だって、今まではキミの身体じゃなかったから。ほかの人の身体にキスとか、する気にならなかったんだよねえ」
「……え、はぁ?」
なんだかとんでもないことを言われた気がして、頬がめちゃくちゃ熱くなる。顔も声もよすぎるから余計にタチが悪い。顔の熱を冷ますように手で仰ぎながら、俺は部屋を出た。
2人並んで、ログアウトまで町を歩いて時間を潰していると、あの食材屋の青年が明るく仕事をしているのが視界に入った。俺は、そういや、とまた彼に対して抱いていた疑問を思い出す。
「なあ、なんで俺が入ってるNPCがわかったんだ? その……声が一緒だったとしても、どこにいるかまではわからないだろ」
声の設定変更を忘れていたことは俺の中で黒歴史になりつつある。次に入るときは違和感があっても声をNPCのものにするか、知り合いが絶対来ないであろう僻地のキャラを選ぶしかない。
「んー? あぁ、探したんだよ。普通に」
「普通に……って、このサーバー内で?」
「うん。ミメンチとかに事情話して、どうやったら見つけられるかのアドバイスもらったんだよね。で、その情報をもとに町を移動して探したの」
「いやいやいや……?」
まだゲーム内データをハッキングしたと言われた方が信じられるようなことを言われ、俺の頭の中はさらに疑問符でいっぱいになった。身体の相性がいい人を別で探した方がよっぽど早いだろうに。おそらく、2回目以降もわざわざ声を頼りにゲーム内を歩き回って俺を探したのだろう。
呆気に取られていると、あ、というシュンの声が耳に入った。
「そうだ、僕も聞きたかったんだ。神官のNPCに入るまでの3週間、ナギはどこにいたの? 時間いっぱいまで探したのに全然見つからないし。どこの町で僕以外のチンコ咥えてたわけ?」
「な……ちょっ……」
人通りのある町中で話すにはふさわしくない単語が出てきて焦るが、ここはゲーム内だと思い出す。NPCは俺たちの会話に反応することはないし、そもそもエロいことができるゲームだからプレイヤーも気にしない。
ふぅ、と深呼吸して落ち着くと、俺は質問に答える。
「誰のちんぽも咥えてないって。仕事とか、現実の用事が忙しくて3週間ログインしてなかったんだよ」
「……ふーん? 現実でもチンコ咥えてない?」
「……っ、ないって。は、初めてだって言ったろ……」
アナニーはしていて、しかもシュンをオカズにしてたことは伏せておいた。別に付き合ってるわけでもないのに責めるような目で見られ、背中に汗が伝う。
(でも、俺のことをいつも探してくれたんだよな……)
そう思うと申し訳ない気もする。向こうが勝手に探していただけとはいえ、何度も俺のことを抱きたいと思ってくれていたのだから。
ほんとに誰ともセックスしてないか、と何度も尋ねられ、俺も何度も頷く。ようやく納得してくれた様子のシュンが、ぐいっと俺の手を引いた。
「うん、これからは連絡も取れるから、それでいいや。次からはちゃんと待ち合わせて、いっぱいえっちしようね」
「ん……っ♡」
腕の中に閉じ込められ、ちゅっとキスを落とされる。また一瞬慌てるが、このゲームでは同性カップルなんて珍しくないことを思い出す。現実じゃないから、少しだけ恥ずかしいけど俺はキスを堪能した。
「もう僕がいるから、ほかのチンコはいらないよねぇ? NPC姦プレイヤーで入るのも駄目だから」
「え……駄目か?」
たしかに正直シュン以外のちんぽはいらないと思いつつあるが、それはそれとしてNPC姦プレイはしたい。自由に身体を動かせない中で好き勝手にされて、さらに仕事しながらハメられる快感を手放すのはもったいない。
む、と眉をひそめたシュンが、ちゅうっと強く唇を吸ってくる。
「僕、浮気は許さないから。淫乱なナギは僕のチンコじゃ足りない?」
「い、いや……ちんぽ、はシュンのがいいんだけど……」
一度言葉を止めて口ごもる。もう何度も晒してきた恥だ。さらに増えてもどうってことはない。
「NPC姦プレイのシチュエーションに、すげえ興奮するんだよ……どのNPCに入るか連絡するから……な?」
彼を見上げて、お願い、と頼みこむ。NPC姦プレイヤーとして誰かにメッセージを送ることはできないが、ログイン前にこの町のキャラが空いていたから入る、と連絡を送ることはできる。
シュンはため息を吐いて口を開いた。
「たまに、ならいいよ。で、ちゃんと事前に僕に連絡すること。僕以外に触られたらすぐにログアウトすること。いい?」
「うん、もちろん。ありがと」
へへ、と笑う俺の視界に、ログイン上限時間が近いことを知らせる通知が映る。
「もうすぐログアウト時間だ」
「僕もそろそろかな……ナギ」
名前を呼ばれ、むちゅ、と唇を塞がれる。今度は舌を絡めてくるから、また身体の奥がゾクゾクした。しばらくの間、人目も憚らず往来で熱いキスを繰り広げていると、ログアウトする時間になった。自分のアバターが透けてくるのが視界に映り、唇を離す。
「またね、ナギ」
「ああ、またな、シュン」
視界が白く染まり、俺はゲームからログアウトした。
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