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番外編② 現実ではじめまして・前編⑥

 口の中に広がる淫らな匂いにくらくらしながら、ごく、とひと口飲み込む。苦くて普通に不味い。だけど本物の季春のザーメンを味わえたことが嬉しくて、俺はそのままゴクゴクと嚥下した。  自分の手や季春のちんぽに垂れているザーメンも残さず味わっていると、ちゅうっと優しく俺のちんぽが吸われた。 「んぅ……っ♡」 「あは、ごちそーさま♡」  ごくん、と飲み込む音が聞こえる。どうやら季春も俺のザーメンを飲み、尿道に残っていた分も吸い出したようだ。はじめはなんの違和感も抱かなかったが、ここが現実だということを俺は思い出す。 「え、ザーメン飲んだ……のか?」 「うん。キミも飲んでるじゃん」  まさか季春が現実でも俺のザーメンを飲むとは思っていなかった。たしかにゲーム内では互いに飲み合うことはある。けれど彼がザーメンを飲むのは仮想空間だったから、そう思っていた。  驚いて固まっていると、まんこに挿れられていたディルドをゆっくりと引き抜かれる。 「んん……っ♡」  ぬぽんという音を立ててディルドがすべて引き抜かれる。今まで挿入っていた大きなモノがなくなった寂しさに、ナカがヒクつくのが自分でもわかってしまう。 「マンコ、ぽっかり空いてるね」 「うん……空いて、寂しいから……ちんぽ、挿れてほしい……♡」  あれだけ苦しかったディルドももうキツくなくなってきているし、今なら挿入るかもしれない。そう思いながらナカを見せつけるように尻を振りねだる。しかし、優しく太ももを撫でたあと季春は身体を起こしてしまった。 「明日ね。明日またディルドで拡げて、そしたら挿れてあげるから」  季春に身体を起こされ、腕の中に抱かれ囁かれる。彼は一切淫靡さを感じない、ただ優しいだけの手つきで俺の頭や背中を撫でていく。  その後も何度か挿れてほしいとお願いするが、すげなく断られる。そうしているうちに、身体の熱も冷めていってしまった。 「わかった……」  小さくため息をつき、俺は渋々頷く。 「うん、いい子」  そう言って頬にキスをしてきた季春に、ぎゅっと抱きしめられる。残念な気持ちは、彼の体温の心地よさにすぐにどこかに消えていった。それに、明日になれば抱いてくれるのだ。焦ることはない。  気が晴れると同時に、俺の口からはあくびがもれる。会った時間が遅かったしもう結構夜も深くなっているだろうなと思っていると、季春からもあくびをする声が聞こえた。 「ふふ、やなぎのあくびうつっちゃった。そろそろ寝よっか」 「そうだな……あ、と。俺、どこで寝ればいい?」 「んー? もちろんここで一緒に寝るに決まってるじゃん」  ぽんぽんと季春がベッドを軽く叩く。ゲームでも宿の滞在終了時間まで一緒に寝ることはあったけれど、現実で、しかも彼のベッドで眠ると思うとドキドキしてくる。いいよね、と聞いてきた彼に、はにかみながら俺は頷いた。  その後はシャワーを借りて、パジャマ代わりに持ってきたTシャツとジャージズボンに着替えて部屋に戻った。先ほど汚しまくったシーツは俺がシャワーを借りている間に替えてくれたようだ。  交代で季春もシャワーを浴び、ベッドに並んで寝転がる。セミダブルらしく少しはゆとりがあるが、それでも大人の男2人だと狭い。やっぱり遠慮しようかと思ったが、季春は狭くても気にしていないようだ。なので俺は彼の好意に存分に甘えることにした。  替えたばかりのシーツからはいい匂いがして、すぐ近くに季春の体温を感じる。安堵感に包まれた俺は、次第にまぶたが下がっていく。 「おやすみ、やなぎ」 「うん……おやすみ、季春……」  電気が消され暗くなった室内で、寝かしつけのASMR作品として販売したら爆売れ間違いなしなイケボが耳に流し込まれた。囁かれる声がくすぐったくて、でもすごく安心できて、胸が温かくなる。  季春の体温を近くに感じながら、俺は心地よい眠気に身を任せた。

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