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第1話「此処にいろ」/「Emerald」

「それ、何持ってるんだ?」 Leoの視線が手元に注がれる。 思わずYutoは慌てて鍵をポケットに隠し、声を振り絞った。 「別に…、なんでもありません!」 Leoはその反応に微かに笑みを浮かべた。 「そう?無理に見せなくてもいいけど、興味はあるな」 Yutoは肩の力を少し抜きつつも、まだ心臓の鼓動が早い。 Leoはふっと距離を縮め、声を低く柔らかくした。 「でも、興味はあるな…あんたに」 Yutoは思わず息を止めた。 胸の奥で何かが跳ねる感覚――恐怖と好奇心が混ざった、不思議な感覚だった。 視線がぶつかり、熱い南風が二人の間を通り抜ける。 Leoは微笑みながら、ほんの少し身を乗り出す。 「よかったら、このあと…夜も案内するけど?」 ーーそういってウィンクをひとつ寄越したのだった。

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