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第2話 「行きつけのバー」/「真紅のエメラルド」

Leoの誘いで行きつけのバーに行くことになった。そこは食事もできるらしい 灯りの下、テーブルには色とりどりの料理が並んでいた。 香辛料の香りが鼻をくすぐり、炒める音や小皿を置く音がリズムを作る。 「ここの料理はどれもおすすめだ。よかったらいろいろ試してみて」 Leoは微笑みながら、手際よく小皿を差し出す。 Yutoは少し緊張して箸を取るが、料理の香りと熱気に引かれ、自然と口元が緩む。 "でも、興味はあるな…あんたに" 思わず息を止める。胸の奥で何かが跳ねる感覚――恐怖と好奇心が混ざった、不思議な感覚だった。 視線がぶつかり、熱い南風が二人の間を通り抜ける。 Leoはほんの少し身を乗り出し、視線の熱をYutoに向ける。 "よかったら、このあと…夜も案内するけど?" さっきのLeoの言葉が脳内で反芻する Yutoは慌てて視線を逸らす。胸の奥で波のように心臓が高鳴り、手元の箸がわずかに止まった。 でも、その胸のざわめきは、怖さよりも、未知への期待に近い。 「Yuto?」 「……え、う、うん」 声は小さく、少し震えていた。 Leoは満足げに笑い、また手元の料理に目を落とす。 夜の空気と料理の香り、そして届きそうで届かない二人の距離。 Yutoはそのすべてに酔い、口では言葉を紡ぎながらも、心のどこかで次の瞬間を待っている自分に気づいた。 そのとき、テーブルの上に置かれたLeoの携帯が小刻みに震えた。 「あ、ごめん!ちょっと出てくる 仕事の連絡みたい」 そういうと、Leoは外に出ていった なぜか少しだけ安堵した自分がいた…。 しばらく1人で鮮やかな色合いの島料理の数々を口に運んでいると、奥に重い深紅のカーテンが下がる入り口があることに気付いた いかにも別世界が拡がっているであろうそこは人が出入りする度に豪華な調度品が見え隠れしていた。 「ごめんごめん、あ!結構すすんでるね 気に入ってくれてるようでよかった」 Leoが電話から戻ってきた。 「この後どうする?」 Leoが料理をあらかた食べ終えると尋ねてきた 「…っ、このあとは、もう宿に戻るよ…」 視線をそらしたまま答える ごく…と自分の喉がなるのをLeoに聞き取られてないか不安になる 「そう、じゃあ送るよ」 柔らかく、ただその声には真紅のまとわりがついているのを ーー俺は気付かない振りをした

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