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第6話 「父とエメラルド」

次の日、Yutoの泊まる部屋の戸を誰かが優しく叩く音がした 「Yuto、朝だよ起きろ~」 間延びした声で起こされる。 こんなことをするのは一人しかいない 扉を開けるとLeoが満面の笑みで立っていた。 Yutoは寝癖をつけたまま、その姿をじとっとした目で見る 「…なんだ?こんな朝っぱらから」 「デートしよ!」 Leoはそう言って早く準備しろと急かす ーー海の上ーー Leoに手を引かれてやってきたのは沖。 なぜか沖。 「船、運転できるのか?」 「もちろん!お客さんを案内するのに重要なんだよ」 確かに波の上を漂う気分は悪くない。 海の上でポツンと浮かぶ小型の船、 端から見れば不安で堪らない状況だろうに どこか安心感を覚えるのはLeoといるからだろうか 二人でしばらくぼーっとする すると、Leoが静かに口を開く 「…昔父さんに連れられて海に出たことがあってそのときに見た海上からの島の風景が忘れられないんだよね」 これが俺の大好きな島! と、Leoが言う 「いいな…」 「Yutoのお父さんってどんな人?」 「俺のお父さんは、仕事一筋みたいな人だった…小さい頃の記憶しかないけどな」 そう、俺の父親は料理人。 バンコクで小さなチキン料理の店を営んでいた。俺が小さい頃、心臓病で倒れて以来 再び厨房に立つことはなかった。 「頼りがいのありそうなお父さんだね」 Leoはそう言うと、じゃじゃーん となにやら効果音付きでボックスを取り出した。 「なんだ?」 「サンドイッチ」 「作ったのか?」 「まさか!島のカフェで売ってるやつだよ はい、Yutoの分もあるから食べて」 Leoが渡してくれたのは、トーストに玉子がベースのソースが塗られて魚のフライが挟まったサンドイッチ 一口。 「…うまい!」 「でしょ?俺のお気に入り海もセットだよ」 「ふっなんだそれ」 思わず吹き出す。Leoといると自然と笑顔が増えている自分がいる 時間を忘れて過ごす島とはまた違う癒し。 「来てよかったな…」 「それは、よかった」

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