23 / 26
第7話 「此処にいる理由」
「もしもし?母さん?ーーうん、大丈夫ちゃんと食べてるよ」
両親は俺が小さい頃に、離婚した
それから母さんは俺に不自由をさせないため懸命に働いてくれた。
それなのに俺はこのざま。親不孝も甚だしい
母のことも、父のことも…。
ダメだ、どうしても考えてしまう
俺はいったいどうしたらいいんだ
「…to…Yuto!大丈夫?」
「Leo…」
「顔色悪いけど、酔った?」
俺たちは今、船の上にいる
目の前の男は心配そうにこちらを見ていた
「ああ、大丈夫だ」
心のなかでさっきまでの穏やかさがすっと引いていくのを感じる
やっぱり…ここでもダメなのか…
そう思ったとき、
ぐっと引き寄せられた
力強く腕を引かれたのに受け止め方は柔らかい
胸を、顔に押し付けられる。
「いい子、いい子」
高めの声でもふざけていない。
「こわくなーい。こわくなーい」
子供に向けるみたいな言い方
「……っ、やめろ」
声が、思ったよりも弱い。
「子供扱い、するなよ……」
そう言いながら、
手が、Leoのシャツを掴んでいた。
胸の奥で、
何かが、音を立てて崩れる。
「……っ」
喉が詰まる。
呼吸が、うまくできない。
気づいたときには、
視界が滲んでいた。
「……くそ……」
涙が、勝手に落ちる。
止め方が、よく分からない。
Leoは、何も言わない。
ただ、抱き締めた腕を、少しだけ強くする。
船が揺れる。
その揺れに合わせて、
俺は、Leoにすがりついた。
父が亡くなってから
初めて、流した涙だった。
しばらくして
ふっと息を吐いた
泣いていい理由が見つかった
ともだちにシェアしよう!

