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第一話 うまい話には裏がある⑦
「よかったら、ここで働かない?」
「ここって、アパートメントですか?」
「うん。ちょっと手伝いがほしいなって思ってたんだー。あんまり外から人入れたくなくて1人で全部やってたんだけど……ロメルさんなら秘密知ってるし見られて困ることもないからね。給料も払うよー」
たしかに、催眠魔法がかかったアパートメントなんて、バレてしまえば大変なことになるだろう。
「……というか、そもそもなんで催眠魔法なんてかけてまで家賃としてザーメン採取してるんですか?」
流されてすっかり忘れてしまっていた疑問を思い出す。催眠のような精神に作用する魔法なんて、下手したら捕まってしまうような危険な部類に入るのに。
「あーそうか。そこ説明してなかったね。実はね……オレ、少しだけ淫魔の血を引いてるんだー」
彼の説明によれば、少しとはいえ淫魔の血を引いているため、普通の食事以外に他人の精気も摂取しないと栄養が不足してしまうんだとか。精気を摂取する方法は人それぞれで、ジュードさんはザーメンの味が好きだからザーメンから精気を摂取しているらしい。興奮度が高まれば精気の味も濃くなるとかで、直接チンコを扱いて採取してるのはそのためなんだと教えてくれる。ちなみに食事にかけているのは単純に趣味らしい。普通はそのまま飲むんだよ、とジュードさんは笑っていた。
「で、オレは一度にたくさんザーメンを採取するためにアパートメントの管理人として入居者から家賃として支払ってもらうことにしたんだー。ちなみに、催眠魔法をかけることは届け出を出して許可してもらってるから、バレても問題ないといえば問題ないんだけどね」
「許可……出るんですか?」
おれの問いかけに、ジュードさんはにやりと笑う。このあたりはあまり詳しくは聞かない方がいい気がした。
「まあ、1人の人間から精気を摂取しすぎるのは相手にとって命の危険があるからねー。条件はあるけど、淫魔族への特例って感じかな」
「なるほど……」
「とはいえ、やっぱり催眠魔法かかってるなんて知ったら、嫌だなって思う人もいっぱいいるからねー。秘密にしておいた方がいいでしょ。だから……ロメルさんみたいに、秘密を知って、引かずにいてくれる人が働いてくれたら嬉しいなーって」
にこにこと笑いかけられ、おれの心はほとんど決まっていた。だけど、最後に1つだけ浮かんだ疑問を解消したい。
「……おれとしても、雇ってもらえるのはめちゃくちゃ助かります。でも、その場合家賃って給料から引いてもらうんですか?」
雑貨屋で働いていたときも給料から家賃を引いた金額を貰っていたので、同じかと思い尋ねる。来月分はザーメンらしいが、そのあとはちゃんと払わないといけないだろう。しかも改めて考えると先ほど出した量じゃ来月分も足りてなさそうだ。
「あー、それは大丈夫」
握られていた手の甲がすりすりと撫でられる。
「家賃は、ザーメンで払ってもらうよ。今後もずーっとね」
「ずっと、ですか?」
「そー。ロメルさんのザーメン、お茶にすっごく合うから毎日飲みたいんだー。ほかの人より頻繁に貰うことになるだろうから、その分が家賃ってことで」
あまりにもおれにとって都合がよすぎる提案をされ、戸惑ってしまう。
「え、それだとおればっかり得しちゃうんじゃ……」
「そう?」
「だって……給料出してもらうのに、家賃は免除で……それに、ジュードさんにチンコ扱いてもらえるなんて……」
「んー? オレにおちんぽシコシコされてザーメン絞り取られるの、得だと思っちゃうんだ?」
言葉にされてしまうと恥ずかしくなって、俯きながら小さく頷く。顔がとても熱い。うう、とうめき声を上げていると、くす、と笑う声が耳に入った。
「大丈夫だよー。言ったでしょ? オレお金に困ってないし、ザーメンで払ってもらう方が嬉しいって。ロメルさん1人分の家賃を免除して給料支払ったってぜーんぜん問題ないよー」
「ほんとですか……?」
顔を上げ、ジュードさんを見つめる。彼はにこりと微笑んで頷いた。
「じゃあ……よろしくお願いします」
「うん。こちらこそ……いーっぱい、よろしくね?」
濃いピンク色の瞳に見つめられ、身体の奥が甘く疼く。これからきっと、集めてきたエロ小説よりもいやらしくて、今までの人生よりもっともっと楽しくなる。そんな予感がした――。
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