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第4話

あれから1週間、 黒木とは話してない。 お互い気まずくて、話しかけようにも話しかける話題がない。 今まで何してたんだっけ? それでも、俺の中での優先順位は出来上がっていて、なんの躊躇もなく、彼女に別れの電話をかけられた自分には正直驚いた。 もし、黒木にも同じように電話をしろと言われたらそれは無理だから。 もうこれが、この行動が、俺の答えだろうと思った。 ああ、伝えなきゃ。 小柄で細いくせに、少しでもデカく見せたいんだ!とか言って大きめの服を着たがるあいつ。 だからすぐ見つけられるんだ、後ろ姿だってなんだって。 袖口から覗く指先とか、太腿まで隠れるくらいの丈感とか、直し忘れた寝癖とか、目で追うのが自然みたいに。 どこに居たって、きっと見つけてしまう。 「黒木!」 久々に呼んだ名前に、どくん。と心臓が高鳴った。 「へっ…」 振り返って俺を見て、 嘘だろって顔した黒木と目が合う。 「話があるんだけど」 「な、んで…ここに…」 「?…同じ大学なんだから、そりゃ居るだろ。」 「違う!そう言うことじゃ…」 「黒木に会いたかったんだ。」 「なっ…!?」 「ずっと考えてた、お前のこと。そしたらなんか…無性に会いたくて。探してた。」 「……」 「それが俺が今ここに居る理由。それじゃあだめか?」 「だめじゃ、ないけど…」 「けど?」 「やめろよっ…そういうの…」 「なんで」 「期待、させるようなことしないでくれよ…もう、やだ…これ以上好きになりたくないっ…」 「いいじゃん別に。」 「よくない!」 「俺はいいよ。つうか、もっと好きになってくれないと困る。」 「は?」 「俺も好きだから。」 正直、この気持ちに自信はなかった それでもこいつを引き止めたかった 「何を…?」 「黒木のこと。好きなんだ。」 「逢坂…何言ってるか分かってる?」 「わかってるよ。」 「情とか、可哀想に思ってるとかならやめてよ…」 「情は…確かにあるかもしんないけど、可哀想とか、お前を哀れに思ってるとか、そう言うことじゃなくて…ただ、気づいただけ。」 「何にだよ…」 「俺には黒木が必要ってこと。」 「な、なんだよそれえ…っ…ふっ…ぅ…」 泣き出したこいつを見て、 素直にかわいいと思った。 あれ、前はこんな事思わなかったのに。 そもそも、この4年間彼女なんか居なくたって良かったんだ。黒木が居て、一緒に過ごせるだけで楽しかったし、女見たって特に…って、おかしいだろ。この歳の男が女見たってなんも思わないとか…そんなことないだろ普通。 あー…なんだよ、俺ずっと黒木のこと好きだったんじゃん。 出来たばっかりの彼女に別れの電話して、無視されてヘコんで、会いたくて探して…とか、俺黒木のこと大好き過ぎない? 「ははっ、なんだよもう…」 この気持ちに自信ないとか、そんなこと思ってた自分を殴ってやりたい

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