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さっきまで弄られていたのとは反対の胸に唇が下り、舐め上げられる。乳首を乳輪ごと貪りつかれる。
「ひゃっ」
同時に、今までじれったいほど微妙な位置を彷徨っていた手が僕の熱を直に包みこんだ。両方刺激されては堪らない。声を押さえることなどできないし、押さえることなどないのだ。
僕らは自由だ。
悲しみのうちに抱き合うことなどもうない。
「いつ……っ」
冬馬が先っぽを唇で食 んで引っ張る。
痛いと言いながら背筋に電流のような快感が駆け上る。
少し痛いのが好きだということを冬馬にはわかってしまっている。
痛いだけの愛のないセックス。義兄 に長いことそうされていた。それを僕は冬馬にされていると妄想して独りで達していた。義兄にではなく妄想の冬馬とセックスしていたのだ。その名残りかもしれない。
本物の冬馬と初めて繋がった時、義兄との痕跡を消し去るように、肌に紅い花を散らしていった。でも優しかった。
二度目のセックスは僕が主導を握った。冬馬が脇腹に怪我を負っていたから。本当ならそんなことをしていいはずがない。
でも冬馬が僕を欲し、そして、僕は――あの時、これが最期ではないかと思ったのだ。
切ないセックスだった。
だけど。
僕らは死ななかった。
パリのホテルで一週間、食べて眠ってセックスをするだけの日々を過ごした。
初めて心から幸せなセックスをしたのだ。
それから冬馬はパリの知人を頼りに、仕事とこの家を探した。
ベッドと冷蔵庫、簡単な調理器具。
それだけの出発だったけど、冬馬と一緒ならなんの不安もなかった。
唇は更に下へと移動をし、臍の周囲を舐め回す。その頃には手は窄まった後口へと伸びていた。二週間空いて固くなってしまったそこへ、長い指を突き立てる。
「あぁ……っ」
溜息のような喘ぎが漏れる。ゆっくりと抜き差しされれば、やはりまったく経験のない人よりは早く緩み、その指を奥へと誘った。
この後もたらされる快感を期待し、僕のそれはすっかり熟して先端から雫を垂らし始めた。
「気持ちイイ?」
「うん……冬馬、早く……」
僕は冬馬の肉体の中心に触れた。僕と同じに、いや、それ以上に熱さとかさを増したそれが、僕を欲っしている。
彼の欲情する姿とこれからされることを想像しただけで、もう達してしまいそうだ。
僕の身体をこんなふうにしたのは冬馬だ。
「まだ、だよ。まだイッちゃだめだ」
いつも優しい冬馬。彼がセックスの時には案外意地悪だということも何度となく行われた行為のうちに知ることとなった。
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