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第3話 初めての警察庁。

 巡査部長と宗近が来たのは警察庁だった。 「実は事件の張り込み周りにアヒルが必要らしいんだよ。ちょっと危ない案件らしいから、丸石みたいな頑丈そうなのが安心かなと思ったんだ」 「……アヒル?」  『アヒル』がなんなのか解らない宗近は心の中で頭を抱えた。 「若手の制服警察官の通称だ。少しは用語覚えておけよ」  巡査部長は宗近を連れて『事件特別対策本部』と書かれてある大きな会議室に入っていく。 「応援に来ました」 「丁度良かった、これから捜査会議だから説明端で受けてって」  何かいつだか警察官の映画を観たが、まさにその中に自分がいるような感覚になり、宗近は心の中で胸を高鳴らせた。 「巡査が関われる捜査会議なんてそうそうないぞ。出世するまでは参加出来ないから今日のことは目に焼き付けとけ」  ノンキャリア組は出世などそう簡単には出来ないことは宗近でもわかっているし、自分は正義のために警察官になったわけではないので、こんな捜査会議などとは無縁な巡査のままでいたいと思っていた。  事件の最前線で働き殉職など真っ平だし、でもあのポスターの君のために殉職できたら幸せに死ねるかもしれないと妄想が膨らんでいるうちに、捜査会議は始まった。  妄想の中のポスターの君は何故か制服ではなくスーツを着ていた。 『俺のせいで……、死ぬな丸石!!』  そう、まるで今捜査会議で部下達に指示をしている上司のような姿をしていた。 「……ポスターの君?」  ポカンと呟く宗近に巡査部長は笑顔になった。 「気付いたか、彼は岩永 誠人(イワナガ マサト)警視正だ。丸石、お前が探していた人だよ」

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