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第4話 巡査部長の甥。
捜査会議が終わると、岩永警視正は巡査部長のところにやってきて話しかけてきた。
「ヤマさん、お久しぶりです」
「お疲れ様です、岩永警視正」
まさか巡査部長がポスターの君と知り合いだとは知らずにいた宗近は急接近してきた憧れの相手にドギマギしていた。
思っていた通り優しそうな声色の岩永から放たれる言葉を一つも残らず聞き取ろうと、心が前のめりになりそうなくらい耳をダンボにして聞き取るが、次の言葉は宗近にとって聞き間違えたかと思えるほどの問題発言を耳にした。
「そんな言い方やめてください。自分はヤマさんにとっては甥なんですから」
「義兄さんと姉貴は元気にしてるかい?」
「ええ。先日から母は父の後援会の手伝いに回れるくらいには回復しましたし。まぁ、油断はできませんけど……」
一体どういうことかと宗近の頭はパンクしそうになる既のところで、巡査部長は説明した。
「丸石、岩永警視正はの母親は俺の姉貴なんだ。岩永警視正、こいつは新人巡査の丸石だ」
「丸石 宗近です」
岩永を前に敬礼をする宗近は、まぁ立派そうな巡査に見えた。
「ヤマさんの勧めなら、今回は丸石君にもお願いしよう。何せ人手が足りないからね」
まさか憧れの相手からお願いされるなんて、どんなことでも自分はします、と、そんなことを口に出そうとしたが、先程の捜査会議の説明で思いだす。
『最前で犯人武装集団に突入する場合に人数が足りない。今回の見張りにはそのための所轄のアヒルにも同行してもらう』と。
「潜伏先は薄暗いから、制服じゃないと敵か味方か判断が付かない。まぁ君の防弾ベストも用意するから安心しなさい」
岩永はあのポスターと同じ微笑みを浮かべていた。
これはもしかしたら先程自分が妄想していたことが起こるかもしれない、そう思うと宗近は殉職に一歩近付いたことに、心の底で怯えていた。
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