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第7話 鉄面皮。
最後に取り押さえられた犯人は宗近が背負い投げた輩で、刑事が直ぐに来て手錠を掛け連れて行った。
勇敢に戦った者 を心配するのは小川ただ一人だった。
「丸石、大丈夫かっ?!」
「大丈夫じゃないです」
防弾ベストを着ていたとしても、やはりとんでもないくらいの激痛で、宗近は撃たれた腹を抑えた。
だが彼は鉄面皮、痛くても気絶するほどではないため顔に出ることはない。
しかし本当に痛みなど感じているようには見えなかった。
「……丸石、もしかしてお前他人に表情が読み取れないと言われないか」
「多分そうです。学生時代のあだ名は『鉄面皮』ですから」
ようやく宗近の表情筋が死んでいることを知った小川は、無理をしている彼に肩を貸した。
「悪かったな、丸石。部下にこんなことをさせるなんて、俺は上司失格だ」
悔い謝る小川に、宗近は先ほどまで気になって仕方がないことを聞いた。
「小川巡査部長、何故岩永警視正に近付くなと言ったんですか?」
一刻も早くこの仕事を終わらせて、岩永のことを知りたいとずっと思いながら行動していた宗近は、もう待てができない状態だった。
「俺は撃たれたお前が心配なんだが……。まぁ、いいか」
まわりには聞こえない小声で小川は話した。
「誠人は丸石が思っている性格とはかけ離れていると思う。お前はポスターのあいつしか知らないだろう」
ポスターの君は美人で優しそうな、それで制服を着ていてもプロポーションのいい、見るからに警察官の鑑のような人。
先程実物の岩永 誠人警視正と会話したときも優しく笑顔を絶やさない、警察官として上司としてとてもイイ人そうだと思ったが、なんとなく感じた違和感ががあった。
それが小川の忠告と何か一致しているのだろうか。
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