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第9話 悶絶。

「丸石、無理はするなよ。明日は休め」 「はい」  病院にパトカーで向かい、撃たれた跡はかなり酷い怪我だった。  無理はない至近距離からの発砲だったのだから。  病院から勤めている警察署にパトカーを返すと、時間は明朝となっていた。  電車はまだ走っていないため、痛む腹を抱えて始発を待とうとしていたら、夜勤の同僚が時間があるからと宗近を自宅まで送ってくれた。  丸石の自宅はボロ屋のアパートだった。  さすがに下っ端巡査が綺麗なアパートに一人暮らしできるわけがなかったが、それでも殉職せずに自宅に帰ることができ、ようやく心の底からホッとした。  痛む腹を抱えつつ、今日手に入れたポスターを広げると、小六のときに児童館で見たポスターよりも色褪せは感じず、保存状態がとてもいいことろにあったことが分かる。 「……額縁買ってこよう」  ボソリと呟く宗近は無表情ではあったが、心の中の彼は満面の笑みだ。 「岩永 誠人さん……」  ようやくポスターの君の本名を知ることができた嬉しさのまま、その本人から渡された名刺を折らないように定期券のカード入れから出し眺めた。  名刺には岩永の携帯電話番号も書かれてあった。  『丸石、君のおかげで今日大事件が一つ解決した。これは私の名刺だ、怪我が落ち着いたら礼をさせてくれ』、と、一言一句聞き逃さず脳内に焼き付けた岩永の言葉を再生する。  お礼ってなんだろう、と、考えると宗近の脳内がお花畑になる。  頬にキスとか、優しく抱きしめてくれるとか、いや……もしかしたら俺が望むことをしてくれるのでは?!とよからぬ妄想を仕出した宗近は、悶絶するようにベッドに転がった。  が、転がった瞬間に撃たれた箇所を下に倒れた結果、とてつもないくらいの激痛が身体を駆け抜け悶絶し直した。 「くそぉっ!!……なんとか早く治して、誠人さんに連絡してやる」  

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