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第10話 痛くても、春到来。

 事件から次の日、当日に撃たれたときよりも激痛が体中を駆け回り、我慢強い打たれ強いと言われてきた宗近たが、さすがに耐え切れなかったので、小川に助けを求め通院した。 「明日からは必ず復帰します」 「もう数日くらい休んでいいと思うが……」 「いえ、明日にはどうしても出たいです」  一刻も早くポスターを飾るための額縁を買わなければという使命があるので、事件の二日後に宗近は復帰した。  署内では宗近が警視庁からの事件を解決するべく行動し、そして銃撃されたと聞いていたので、彼がもう復帰したことに驚きを隠せなかった。 「お前、……撃たれたんじゃないのか?」 「防弾ベストを着ていたので」  そう説明すると、『最近の防弾ベストは優れているんだな』と会話が続くが、小川だけが宗近の体の心配をしていた。 「丸石、無理してるんじゃないか?」 「大丈夫です」  『はい、めっちゃ無理してます!!』、と、心の中で思い叫んでいるのだが、どうしても帰りに画材屋に寄って額縁を買うという目的があるので、素直には言えなかった。 「無理して倒れたら、上司の俺が困る」 「大丈夫です」  そのやり取りを見ていた婦警達はタフさと整った顔面、そして長身の宗近に惚れた者もいた。 「丸石君、彼女いる?」 「いません」  彼女はいないが、心に決めた相手がいることを言葉足らずの彼が言う訳もなかった。  撃たれた箇所の痛みはあるものの、宗近の脳内には春が来ていた。 「丸石、上司命令だ。お前早退しろ、付き添ってやるから通院だ」  上司命令なら逆らうわけにもいかず、そのまま素直に早退を余儀なくされた宗近は、今日画材屋に行くことを諦めざるを得なく従った。

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