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第12話 もしかしてご褒美は口付けですかっ?!
さすがに額縁が届くからと言って仕事を休むことができない宗近は、その日も痛みを堪えて職務に務めた。
それにしても、岩永は落ち着いたら連絡が欲しいと言っていたが、辛い今だからこそ『礼』というものが欲しかった。
家に帰ればポスターが待っている。
今日こそ額縁に入れたポスターを眺め見ながら自慰行為 を楽しめる、とはいえあの日から『礼』が気になって仕方がなかった。
一体どんなご褒美が待っているのだろう、そう思うと宗近の妄想がどんどんと膨れ上がっていった。
間近まで岩永の優しそうな顔が迫ってくる。
『もしかしてご褒美は口付けですかっ?!』
、と、宗近はギュッと目を瞑ろうとした瞬間だった。
「丸石?……大丈夫か」
音声まで再現してくれる妄想があるわけがない、そう思い我に返ると、本当に宗近の間近に岩永の整った顔があり、驚く。
「うわっ!!」
椅子に座ったまま宗近は後ろに倒れかけた。
防弾ベストを着ていたとしても数日前に至近距離から撃たれた怪我人をそのまま転がすことができなかった岩永は宗近の襟を両手で掴み、元の体勢に戻してくれた。
「大丈夫か、丸石」
「なっなななんで、岩永警視正がこんなところにっ?」
さすがの鉄面皮も岩永の前では、そんなに問題ではなかった。
「丸石が昨日から勤務していることをヤマさんから聞いて、気になって。大丈夫か、君熱あるだろ」
また最接近してきた岩永は、額に手を当て熱をみていた。
それを聞いていたまわりの巡査達は、一斉に宗近を見た。
「今日は蒸し暑い日だなとは思ってました」
「炎症起こしてるなら熱があるのは当たり前だ。休んだほうがいい」
初めて会った時よりも岩永警視正はなんだか距離が近いなと思ったが、幸せだったため宗近は突っ込むのを辞めた。
「ヤマさん、今日の丸石の病院は僕が連れて行く。僕の命令のせいで丸石が怪我をしたようなものだから」
そうあのポスターの笑顔でそう言われて、宗近は感動のあまり胸を押さえた。
「丸石、気を付けろ。あれは天使の皮を被った……」
「あぁ、凄い熱だ!!休んだほうがいい丸石、早退だっ」
ほぼ強引に宗近を引っ張る岩永の力は凄かった。
いや、力ではないのだろう。
角度で宗近の大柄さを利用しながら引っ張っていく、そんな感じだった。
岩永 誠人は只者ではないなと、宗近は思った。
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