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第15話 缶コーヒー。
下心で近付こうとすると上手くいかないものなのだろう、宗近は不純な動機で警察官になったことは、例え岩永と親密な関係になっても言わないでおこうと思った。
病院で治療を受けながらそう思った宗近は待合室で待ってくれている岩永のもとにいくと、彼は缶コーヒーを差し出してくれた。
「今の時間だと店はどこでも混んでるだろ。丸石、少し話さないか?」
疑問形で岩永は聞いてきたが、これは絶対に断ったらいけないやつだと察した宗近は、椅子を一つ空けて座った。
「お前、ポスターを見て僕を探していたとヤマさんから聞いた。あんなの写真のどこがいいんだよ?」
不純な動機は言わないでおこうと思った矢先に聞かれるとは思っていなかった宗近は言えなくない範囲で答えた。
「実家の近くの児童館にポスターが張ってあったんです。とてもいいポスターだと思いました」
まさかそれで性欲を感じたとは言えなかったので、少々濁したが嘘をついているわけじゃない。
「僕の良さは容姿だけだ。自分でも理解している、丸石も俺の本性を知って幻滅しただろ」
「幻滅はしていないです」
岩永の本性を知り、残念だとは思っていたが、宗近は幻滅はしていなかった。
それは百パーセント完璧な人間はいないと思っていたからだった。
例えどんなに良い人でも欠点はあると思っている、宗近の思想はそうだった。
「俺感情を表に出すのが苦手で、学生の頃のあだ名は『鉄面皮』です」
それは宗近の欠点の一つだ。
「表情筋が死んでいるおかけで、顔に出にくいぶん秘密は守れます。欠点でもあり長所だと自分は思っています」
『鉄面皮』の表情で宗近はそう言うと、それに納得がいかないのか岩永は不服そうに、睨んだ。
「なんだそれ、僕をを慰めてるのか?」
「俺は残念ながら岩永警視正に幻滅をしていません。だから俺の前では息を抜いてください」
確かに岩永が自分の理想とは違うが、それを知った上で宗近は離れることが惜しいと思っていた。
長年思ってきた気持ちがある、それがあって今更なかったことにしたいと思えないのだ。
それに一度でもいい、岩永を抱けるまで離れるわけにはいかなかった。
「ふん、偉そうに。でも、そんな生意気なお前は嫌いじゃあない」
岩永に嫌われていない事実の嬉しさに、宗近は缶コーヒーを一気に飲み干した。
「……明日も通院に付き合ってやる。ケータイ番号教えろ」
まるで懐かない猫がちょっとデレたような言い方だなと、宗近の心は少し温かくなった。
「はい」
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