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第20話 理不尽なのはこっちだ!!

 岩永の車は今日も覆面パトカーではなかった。 「岩永警視正は車での出勤なんですか」 「まさか。パトカーでは行けないところだから、早退して車を取りに行ってきた」  やはり密室になると岩永は凶暴な性格に代わった。 「すみません」  そんな岩永に宗近は怯えきっていたが、さすが鉄面皮、そんなふうには見えなかった。  何故今日はそんなに怒っているのだろうか、と不思議そうに視線を向けると、それを察したのか岩永はLINEの画面を見せてきた。  『丸石 宗近は相当思い詰めている。くれぐれも優しくしてやれよ、誠人』。 「ヤマさんから何故こんなLINEが来るんだ?!そんなに僕と寝るのが嫌なのかっ?!」  それでようやく岩永の怒りに気付いた宗近は正直に胸の内を話しだした。 「俺は岩永警視正が好きです。性的な目でずっと見てました」  そう、小六であのポスターを見てからずっと自慰行為(オナニー)のオカズは、岩永だった。  思春期を迎え、あられもない岩永を妄想しながら何百回とヌいた。 「友達とAVを観ても、相手が岩永警視正だと思って想像するとたまらなくなった」 「そんな想像してたんなら、本当の僕だと何故駄目なんだ!!……そんな理不尽だ、納得いかないっ」  『理不尽なのはこっちだ!!』、と、言いそうになって宗近は堪えた、相手は上司(ケイシセイ)なのだから。 「俺は岩永警視正を抱く妄想をしていました。自分が抱かれる側で妄想していたわけではないんです」  宗近ははっきりとそう言ってしまった。  何故か自分を抱きたいと思っている岩永がどうしても分からなかった。  こんな鉄面皮の雄々しい大男を組み敷いたとして、『あんあん』と喘ぐ姿を見て何が面白いというのだろうか、と。  そんな姿を見て勃起するものなのかと、気持ちが分からないし不思議でどうしようもなかった。 「……しょうがないだろ!!僕はお前のその表情が崩れるところが見たいんだ」  病院の待合室で素顔の岩永と接したときから、見た目より中身がとても幼いと宗近は思っていた。

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