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第21話 体力試験の記録更新者丸石宗近。

「俺の表情は何をしても変わらないと思います」  宗近の両親すら彼の表情が崩れたところを見たことがない、赤子のときすら表情を変えず泣いていたと聞いていた。  それにしても何故鉄面皮宗近の表情を崩したいと思っているのか、理由が思いつかなかった。 「岩永警視正は俺が気になっているんですか」 「……」  宗近は怒られることを前提に聞いたが、当の本人は黙り込んでしまった。  岩永は車を発進させると、その乗り心地は昨日と同じくらいの安全運転だった。 「僕の警察官採用体力試験の最高記録をお前が塗り替えたのがいけないんだ。……だからお前が気になって仕方がなかった」  先程までの癇癪は抑えつつ、岩永はボソリと言った。  そういえば体力試験のときに『バケモノ』と言われたことを思い出し、宗近は岩永を見た。  すると岩永は悔しそうに綺麗な顔を歪ませていた。 「誰よりも優秀であれと父から言われ育ってきた僕が、こんな惨めな思いをしなければならない?!……こんな屈辱を僕に味あわせた相手には、どちらがより優秀かをわからせてやらなければならない」  確かに親から『優秀であれ』と言われ育ってきたならば、岩永のような捻くれた性格になるのだろうと宗近は思った。  だから岩永は目立つ相手を叩きのめしていたせいでサディストな性癖になってしまったのだろう。 「だから丸石にも屈辱的なことをしてやろうと思った。でも……辞めにしておいてやる」  車はホテルの駐車スペースに泊まった。 「これから僕を抱かせてやるから、付いて来い」

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