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第5話 ラーメン
俺は地元で評判の「極楽ラーメン」へ案内した。公演場所のこのTアリーナからも近い。
「豚骨ベースか?
これを食ったら極楽に行けるのか?」
鷹尾さんはラーメンを食べる姿もカッコよくて、俺は味なんか分からなかった。
「俺のファンなの?」
「はい、小3からずっと好きです。
ジャンガリアン、改造人間ジャグ。
ずっと見てました。かっこいいです。」
「途中で死んじまうだろ?」
「ええ、あの時は泣きました。
なんで?他の仲間のティグとかが死んでも良かったのになんでジャグなの?って思いました。」
「酷いな,ティガーも人気あるんだぞ。」
「ジャグが死んで、俺学校休んじゃいました。」
「そりゃヤバいな。
PTAに有害番組だって言われちゃうんだぞ。」
「あ、ごめんなさい。
俺、大人になったらジャグと一緒に地球を救おうって思ってたんです。」
「ははは、一緒に救おう。」
鷹尾さんは肩を叩いて豪快に笑った。
「今日の公演は見るんだろ?歌も歌うよ。」
「はい、スタッフなんで会場整理です。
その合間に見ます。楽しみです。」
鷹尾さんは名刺をくれて、俺の携帯番号を聞いてきた。
「高校卒業したら東京に来るんだろ?
連絡くれればバイトとか紹介出来ると思うよ。」
そろそろ戻らないと。リハーサルがあるようだった。
ガシッと力強い握手をしてくれた。鷹尾さんは画面で見るより,背が高く身体が大きくて肩幅が広い。痩せているように見えるが筋肉質だ。
すごく男らしい人だった。ますます惚れる。
ほんの1日の出来事だった。夢のようだった。
会場には往年の特撮ヒーローファンが詰めかけてすごい熱気だ。
俺はこの日初めて実物を見たのだ。話をした。
夢のような時間だった。
見かけた鷹尾さんのスマホの待ち受け画面。
小さな女の子の写真。
とても可愛い2才くらいの少女。
「ああ、ウチの姫だよ。長女の舞だ。
可愛いだろ。長女と言っても子供はまだ,この子一人だけど。」
嬉しそうに見せてくれた。
相変わらず俺は妄想の中でストーリーを作って鷹尾さんを動かしていた。俺の物語の中では、
俺の思い通りの言葉をくれる鷹尾さん。
彼はいろんなドラマに出ている。届かない人だ。心の中だけで恋人になる。
妄想が激しくなっていた。
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