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第6話 彼のこと
この前見たのはネットストーリーズという有料放送のチャンネルでやっていたドラマだった。
鷹尾さんはこの中では、なんとバンドマン。寡黙なベーシストの役だ。
天才的なピアニストが作る曲が次々とヒットする。高校生の軽音部の少女が彼の目にとまってボーカルになる。歌で繋がる二人。ピアニストとボーカルの恋物語。
そんな二人をいつも暖かく見守るバンド仲間のベースマン、が鷹尾さんの役だった。
以前から髪は長かったが、このなかでは、その髪を下ろしている。長髪が素敵だ。
彼のギターテクがすごい。本当に弾けるのか。なんかサマになっている。
何をやってもカッコいい。これが役者というものか?
いつも違う顔を見せる鷹尾さん。その度にドキドキさせられる。それと共に彼の私生活が気になる。彼のプロフィールを検索してみた。
誕生日や年令、身長や体重が分かった。そして見つけた。独身、離婚一回。子供一人。
離婚してたんだ。子供は奥さんが引き取ったのか。そういう事は出ていない。
今は一人暮らしのようだ。
ゴシップ記事には、他にも女性の噂が多いと出ている。女に手が早い、と揶揄する記事もあった。
「そりゃあ、モテるだろう。女性が放っておかないんだろう。」
大学受験は散々だった。舐めていた。Fランクで文学部なら,どこでもいいと思っていたがハードルは思いの外高かった。
全く準備をしていなかったから仕方ない。
浪人する気もなかった。親に頼るのも嫌だ。
思い切って鷹尾さんに連絡してみた。
(バイト紹介してくれるっていってたし、な。)
名刺の裏にプライベートらしき携帯番号を書き込んでくれていた。それを頼りに電話してみる。ドキドキだ。
すぐに誰かが出た。女の人の声。
「勝手に出るなよ。」
声がする。
「だーれ?正樹って出てるよ。登録してあるのは大事な人でしょ?女?」
代わって本人が出た。
「正樹か?
やっと連絡くれたね。待ってたんだよ。
でも、今は手が離せない。あとでかけ直すよ。」
電話の向こうで
「アタシたち今いいことしてたんだよ。
邪魔しないで!」
プープープー。女性の嬌声と共に電話は切れた。
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