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第9話 次回作
鷹尾さんの演技にかける情熱はすごい。
俺は本格的に演劇を学んだことがないがそばにいるだけで気迫が伝わって来る。
下北沢には若い小劇場がたくさんある。
鷹尾さんは大舞台に立つが、時々昔の知り合いの舞台にも立つ。
大舞台でシェークスピアを演じるが、またアマチュアの雰囲気の抜けない小劇場で実験的な作品を演じる事もある。
昨夜も花梨ちゃんが泊まったみたいだ。朝から鷹尾さんにベッタリで下着姿で鷹尾さんの膝に乗って甘えている。
「ねえ、鷹尾、この前のバンドマンの役カッコよかったよ。また、ああいうのやってよ。」
「今オファーが来ているのはヤクザ映画だ。」
「えーっ、カッコよくないよ。
バンドマンの鷹尾が良かった。
長髪が似合ってた。」
今度はやくざの役だそうだ。花梨ちゃんは鷹尾さんに抱きついて両手で顔を挟んでくちづけをせがむ。そんなシーンも映画のようで絵になる。
何をやっても素敵だ。目のやり場に困る。
「花梨もう帰れ。
俺はこれから役作りで横浜に行く。
古い知り合いと会わなければならない。」
「花梨も一緒に行きたい!」
「ダメだよ。ヤクザの役作りだ。」
付き人の俺は一緒に行ける。
「マキくんだけずるいよ。花梨、鷹尾から離れたくない。もうアイドル辞めてもいいんだ。」
マネージャーが
「花梨ちゃんは服を着て、帰りなさい。
パパラッチに気をつけて。」
ボデイガードがさっきから、外で待っている。
「じゃあね。今度はいつなら来てもいいの?」
「当分ダメよ。お互いに気を付けないと。」
マネージャーが厳しく言った。
「正樹、そろそろ面倒になって来たな、あの女。」
「え?愛し合ってるんじゃないんですか?」
「俺は女には惚れない。
本当の意味でイケないんだよ。」
???
(イケないってなんだ?セックスの事かな?
俺はまだ童貞だからよくわからないや。)
横浜。初めて来た。中華街に連れて来てもらった。何だか怖い顔の人が集まって来た。
中華料理店に入った。
「お久しぶりです。」
華僑の元締め、李と陳だ。
なんでこんな人を知っているのか?
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