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第12話 ゴシップ

 正樹に電話がかかってきた。 「マキくん、この頃、鷹尾が冷たいの。 連絡取れないんだけど。繋いでくれない?」 「ドーモちゃん、今ヤバいんじゃない? 文秋砲で書かれちゃったじゃん。」 「ああ、週刊文秋ね。鷹尾ちゃんじゃないやつとホテルに入る所撮られちゃった。」  花梨ちゃんは違う男をお持ち帰りして週刊誌に書かれていた。清純派と言っているが、男なしではいられないタイプ。 「しばらく,おとなしくしておきなさいよ。 ウチの鷹尾も今役に入ってる所だから、こっち来ないで。」  マネージャーがはっきり言った。  この所、新作の撮影が続いている。 以前は特撮ヒーローもので子供たちに大人気だったが、その後イケメン俳優として大人にもブレークした。平安時代をやらせれば光源氏を食ってしまうほどのイケメン頭中将だったし、バンドマン役では主役のピアニストを食ってしまう。 「今、一番見たい俳優と言われている。 甘いイケメン役なら彼がピッタリよ。 彼のラブシーン最高!」  そんな鷹尾にとって、次回作は大転換になる映画だった。 「タレントのドーモちゃんじゃ釣り合わないわよ。そんな軽い女じゃなくてもっとビッとした女優さんじゃないと。」 「女優の猪瀬由美と別れちゃったでしょ。 お似合いだったのに。」 「猪瀬由美も恋の噂が絶えないし。 別れて良かったわよ。」 「ドーモちゃんはダメ。イケメンアイドルをみんな食ってるって。」 「今度の映画はヤクザ映画だって。」 「わぁゾクゾクする。抱かれたい男ナンバーワンね。」  鷹尾さんのセクシーな評判は、みんな知っている。今度の映画は,今までと全く違うものだった。暴力的で。カッコいい乱闘シーンがウリだそうだ。  端正な顔だけじゃない、今まで見せた事のない鷹尾、を前面に出す、と監督が発表した。 夜、疲れて帰ってきて気が立っているようだ。 中々眠れないと言う。 「何か、一杯飲みますか。」 「ああ、頼むよ。」 しばらくしてカップを差し出した。 「うわぁ、何これ?酒じゃないんだ。」 「温めたミルクです。 心が落ち着くか,と思って。」 「正樹、可愛すぎるぞ。酒くれよ。」

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