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第17話 下絵
フェイクタトゥーのための絵を描いてもらう。
「本物の刺青と同じ絵を描きます。
刺青は線を描いて筋彫りに墨を入れていくのですが、フェイクではキッチリ全部描いていきます。」
あらかじめ選んでおいた図柄を確認して下絵の線の上に色を置いて行く。
鷹尾さんの選んだのは鷹だった。羽を広げた鷹に合わせて額に桜を散らす。広げた羽の鷹の尾の部分がかっこいい。
からす彫りにしてもらった。全体のトーンは黒っぽくてカッコいい。
「素敵ですね。永久に保存したいくらい。」
「じやあ、彫っちゃいますか?」
小松さんは絵師ですが、彫り師を目指していると教えてくれた。
「師匠の彫武がまだ早いと言うのでね。」
俺は小松さんがカッコいいなぁ、と思った。
描いたフェイクタトゥーを楽屋の合わせ鏡で鷹尾さんも確認している。
「鷹、尾、か?ダジャレ?」
「うん、でも、この絵はかっこいいね。
そのうち消えちゃうんでしょ。もったいない。」
「正樹が本物を彫れば?」
「はい、鷹尾命、とか彫りたい。」
「冗談だろ。ご両親は健在なんだろう?
じゃあダメだよ。」
俺はそう言うものか,と残念に思った。
「君は入れてないの?」
師匠の彫武がずっと付き添って下絵を指導していたが、
「もちろん、彼女は入ってますよ。
私の渾身の自信作です。」
「ほう、見せてもらいたいな。」
「見学料は高いですよ。」
彼女は頬を染めて
「愛する人にしか見せないんです。
お見せできないところまで彫ってあるんで。」
「でも、彫武さんが彫ったんでしょ。
そんな所まで?」
「ちぃは私の妻なんですよ。」
ちぃ、と呼ばれたのは千尋という名前だからだ。後で知る。
「せっかくだから、見せてよ。
いいじゃないですか。」
彫り師は自分の作品を見せたいものだ、と鷹尾さんは食い下がった。
「ちぃお見せするかい?」
彼女は頬を染めて着ているモノを脱いだ。
彫り師の妻の身体には、ほぼ全身にかけて、美しい天女と羽衣が描かれていた。
「すごい、見事だ。」
彼女自身が素晴らしいスタイルなのだった。
地雷な身体に天女が映える。
前も後ろも全身に施されている刺青。
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