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第18話 背中

「それじゃあ、あまり擦らないように気をつけて。シャワーは使って大丈夫です。  普通に生活してください。」  注意事項を説明して、彫武夫妻は帰って行った。俺たちも帰る。 「すごかったね。千尋さんの刺青。」  帰ってからも俺は興奮していたと思う。 「彫武はあの身体を毎日抱くんだなぁ。」 「鷹尾さん、浮気の虫が起きて来た? やだなぁ。好きになっちゃった?」 「いや、ちょっと興味深いな、と思っただけだよ。なんか背中がムズムズするなぁ。」 「ホント,綺麗な背中だったね。 刺青の彫りがいがあるね。」 「確かにいい女だった。」  そう言いながら、俺に手を伸ばして抱き寄せて来る。もう俺は抗えない。鷹尾さんのキスを待ってしまう。  タトゥーが消えないようにあまり激しく抱き合うのは控えた。鷹尾さんが興奮している。 (あの千尋さんの身体が、興奮させているんだ。)  そう思うと悲しくなった。それでも鷹尾さんは優しい。愛撫に溺れる。  次の日は,あの女優、北山修子との濡れ場だった。鷹尾さんは濡れ場の後は本当にセックスするためにホテルを取る。共演する女優さんたちには有名だ。それを期待する女優さんも多いらしい。  ほとんどみんな、拒否しないそうだ。芸能人って大らかなのか?  北山修子との濡れ場は、暴力的なヤクザの夫から風俗に売られて逃げて来た女を助ける、という設定だ。極限状態で狂おしく愛し合う、というストーリー。  鷹尾さんに抱きつく北山修子の目が本気だ。 シャツを脱がせて上半身裸の鷹尾さんの入れ墨をまさぐる。修子も裸になって惜しげもなく乳房をさらす。鷹尾さんの大きな手が乳房をわし掴む。 「あ、ああ、勝司、ここで殺して!」 まるで本番のように腰が動いている。鷹尾さんはセクシーだ。  俺は撮影の様子を、タトゥーが擦れて落ちないか,とハラハラして見ていた。 「カット!いいねぇ、エロいよ。」 監督の声でそのシーンは終わった。 北山修子の目がトロンとしている。離れた所で千尋さんが見ていた。修正するための絵の具を用意している。鷹尾さんが 「やあ、色、落ちなかったか見てくれる?」 奥の楽屋に引っ張って行ってしまった。急いで追いかけると鷹尾さんが千尋さんの頭を抱えて激しいキスをしていた。  俺は思わず目を背けた。

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