20 / 28

第20話(榊原side)

湊はその視線に気づく。 それから小さく息を吐く。 「…別に…普通です」 でも。 声が少しだけ掠れていた。 榊原はベンチの横に立ったまま言う。 「普通の顔じゃない」 湊は何も言わない。 「ねぇ」 湊が顔を上げる。 「バイトやらない?」 湊は少し止まる。 「…バイト?」 「俺ん家」 湊は少し首をかしげる。 「何するんですか」 「掃除」 「掃除?」 「あと洗濯とか、たまに買い物」 湊は少し黙る。 榊原は肩をすくめる。 「俺、あんまり家のことやらないんだよね」 「マネージャー呼ぶほどでもないし」 湊は袋を握る。 「…なんで俺なんですか」 榊原は迷わず言った。 「出る側じゃないなら」 「出ない方向から攻めようかと思って」

ともだちにシェアしよう!