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第21話(榊原side)

湊は少しだけ眉を動かす。 榊原は続ける。 「それに」 湊のコンビニ袋を軽く指さす。 「お金に困ってるなら」 「尚更じゃない?」 まるで当たり前のことみたいに言う。 「断ってもいいよ、俺は困らないから」 湊はおにぎりを持ったまま黙る。 榊原はポケットからペンを取り出した。 コンビニの袋に入っていたレシートを取り出し サラサラと何かを書く。 それを湊に差し出した。 「これ」 湊は受け取る。 数字が並んである。 電話番号。 「…?」 榊原は軽く言う。 「俺の連絡先」 湊は少し目を細める。 「仕事のですか」 「プライベート」 湊は少し黙る。 榊原はベンチから体を離して 「必要になったら連絡して」 そのまま背中を向けて歩き出した。 湊はレシートを見ていると 数歩進んだ榊原から 「あと」 湊が顔を上げる。 「おにぎり以外が食べたくなったら」 「連絡してもいいよ」 榊原は軽く手を上げた。 「じゃ」 夜の駐車場に消えていく。 湊はしばらく動かなかった。 街灯の下、手の中のレシートを見る。 そこに書かれた番号。 指で軽くおる。 ポケットに入れて それから呟く。 「…別に」 コンビニ袋を持ち上げて もう一度おにぎりをかじった。

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