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第39話

リビングへ戻ると、 榊原がこちらを見た。 「てか」 「髪濡れてんじゃん」 湊は自分の髪に触れる。 「あ……」 「おいで」 そう言われて、 湊は榊原の座るソファへ近づいた。 榊原は肩に掛けていたバスタオルを手に取る。 そのまま湊の頭に被せた。 ごしごしと優しく髪を拭いていく。 「ちゃんと拭かないと風邪ひくぞ」 「……はい」 その言葉を聞くのは久しぶりな気がした。 懐かしい。 なぜそう思ったのかは分からない。 しばらく髪を拭いたあと、 榊原が立ち上がる。 「ちょっと待ってろ」 湊はソファの前に座ったまま待つ。 しばらくして戻ってきた榊原の手にはドライヤーがあった。 「ほら」 「こっち向いて」 温風が髪を撫でる。 指が髪をすく。 絡まないように。 熱くないように。 丁寧に。 優しく髪を撫でられながら、 温かな風を受ける。 心地いい。 気づけば瞼が重くなっていた。 「おい」 榊原が少し笑う。 「寝るな寝るな」 そう言われている気がする。 でも。 眠い。 抗おうとする。 けれど、 身体は思ったより正直だった。 「……みなと?」 呼ばれた気がした。 返事をしようとして、 そのまま意識が沈んでいく。

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