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第40話(榊原side)

こんな無防備な姿を見たのは初めてな気がした。 規則正しい寝息。 少し開いた口。 力の抜けた肩。 いつもなら、 どこか気を張っているのに。 今だけは違った。 「……寝たか」 小さく呟く。 返事はない。 俺はそっと湊を抱き上げた。 思ったより軽い。 毎回思う。 軽すぎる。 ちゃんと食べているのか。 ちゃんと寝ているのか。 そんなことばかり気になってしまう。 「ほんと」 「軽いな」 起こさないように寝室へ向かう。 ベッドへ降ろす。 少しだけ眉が動いたが、 目を覚ますことはなかった。 布団を肩まで掛ける。 それでも起きない。 安心したような顔。 いや。 安心しているというより、 力尽きた顔に近いのかもしれない。 きっと何かを背負っている。 それは分かる。 聞かないだけだ。 聞けば話してくれる気もする。 でも。 今はまだ違う。 だから。 少しでも楽にしてやりたい。 最初はただの興味だった。 不思議なやつだと思った。 もう一回見てみたいと思った。 でも。 気づけば少し変わっていた。 「俺も大概だな」 小さく笑う。 最初の狙いとは全然違う。 だけど。 それはそれで面白そうだ。 湊の髪を一度だけ撫でる。 起きない程度に。 「おやすみ」 そう呟いて部屋を出た。 リビングへ戻る。 ソファに腰を下ろす。 まだ早い。 湊が俺に心を許してくれるまでは。 もう少し。 それくらいは待てると思った。

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