41 / 113
第41話
コーヒーのいい香りと、
朝のニュース番組の音で目が覚めた。
薄く目を開く。
天井。
知らない天井。
(……あ)
昨日のことを思い出そうとする。
榊原の家。
ご飯。
泣いた。
お風呂。
そこまでは覚えている。
その先が曖昧だ。
(ドライヤー……)
してもらった気がする。
そこから記憶がない。
体を少し動かす。
柔らかい。
(ベッドだ)
ふかふかしている。
普段寝ている布団とは全然違う。
身体が沈み込む。
暖かい。
気持ちいい。
寝起きの頭ではうまく考えられない。
今何時だろう。
榊原は起きてるんだろうか。
帰った方がいいんだろうか。
色々考えようとする。
でも。
気持ちいい。
瞼が重い。
もう一度だけ。
少しだけ。
そう思いながら布団に顔を埋める。
その瞬間。
「起きた?」
寝室のドアの向こうから声がした。
「コーヒー淹れたけど」
「二度寝する?」
榊原の声だった。
湊は布団に顔を埋めたまま考える。
気持ちいい。
暖かい。
まだ眠い。
「ちょっとだけ…」
自分も驚くくらい素直な言葉だった。
少し間があって
ドアの向こうから榊原が笑う。
「ちょっとだけな」
「はい」
その返事を最後に
湊はもう一度目を閉じた。
ともだちにシェアしよう!

