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第45話

次に目が覚めた時。 喉が渇いていた。 水が飲みたい。 重い身体を起こす。 頭がぼんやりする。 寝室を出る。 本当ならベッドサイドに水が置いてあったはずだ。 でもそんなことも考えられなかった。 音のする方へ足を進める。 身体は少し汗ばんでいた。 首元が気持ち悪い。 シャツも少し張り付いている。 ふらふらとリビングへ向かう。 リビングでは榊原がソファに座っていた。 膝の上にはノートパソコン。 画面と睨めっこしている。 時々映像を止めては巻き戻し、 何かを確認していた。 たぶん。 仕事だ。 普段の榊原しか知らない。 だからだろうか。 真剣な顔で仕事をしている姿が、 少しだけ格好良く見えた。 「ん?」 気配に気づいた榊原が顔を上げる。 「湊?」 すぐに立ち上がる。 「どうした」 近付いてきた榊原が支えてくれる。 少しふらついた身体をそのまま支えられ、 ソファまで連れていかれた。 「座って」 言われるまま腰を下ろす。 「どうした?」 「……喉」 掠れた声しか出ない。 「乾いて」 「あー」 榊原は納得したように頷く。 「そりゃこんだけ汗かいてれば喉渇くよな」 そう言いながらテーブルの上のコップを手に取った。 氷の入った水。 ストローまで刺さっている。 「ほら」 渡される。 一口飲む。 冷たい。 喉を通る感覚が心地いい。 少しだけ息が楽になった気がした。 「ちょっと待ってて」 榊原はそう言うと部屋の奥へ消えていった。 一人になったリビングは静かだった。 窓から入る風。 パソコンのファンの音。 氷が溶ける音。 ぼんやりしていると、 榊原が戻ってきた。 腕には着替えを抱えている。 「熱で汗かいてるし」 「着替えた方が楽になるぞ」 そう言って服を差し出してきた。 湊はそれを受け取る。 不思議だった。 身体はだるい。 頭も回らない。 それなのに。 榊原のいるこの部屋は、 少し落ち着く気がした。 理由は分からない。 ただ。 コップを握りながら、 もう少しだけここにいたいと思った。

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