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第48話

気づけばいつの間にか夕方になっていた。 窓の外は少し赤く染まっている。 いつの間にこんなに寝ていたんだろう。 身体を起こす。 さっきまで頭の下にあった柔らかい感触はなくなっていた。 代わりにクッション。 (……?) よく分からない。 熱でぼんやりした頭では考えるのも面倒だった。 ふと鼻を動かす。 いい匂いがした。 出汁の香り。 自然と視線がキッチンへ向く。 榊原が何か作っていた。 こちらに気付く。 「お」 「起きた?」 「……はい」 まだ少し声が掠れる。 榊原は火を止めながら近付いてきた。 「食べれそう?」 食べ物。 頭の中で真っ先に浮かんだのはおにぎりだった。 何味だろう。 鮭かな。 梅かな。 そんなことを考えながら答える。 「食べます」 「よかった」 榊原は少し安心したように笑った。 しばらくしてテーブルに運ばれてきたものを見る。 「……」 おにぎりじゃなかった。 お茶漬けだった。 湯気が立っている。 海苔。 鮭。 優しい香り。 それを見た湊の視線に気付いたのか、 榊原が笑う。 「おにぎり無理そうだなって思って変更した」 「……」 「でもほら」 指をさす。 「海苔かかってるし」 「鮭も入ってるし」 少し間。 「実質おにぎりだよ」 「……」 熱で頭が回らない。 でも。 確かに。 海苔もある。 鮭もある。 「そうですね」 榊原は吹き出した。 「納得するんだ」 湊は首を傾げる。 何がおかしいんだろう。 とりあえず一口食べる。 温かい。 身体の中にじんわり染みていく。 「どう?」 「……美味しいです」 その言葉を聞いた榊原は、 どこか満足そうに笑った。 その笑顔を見ながら、 湊はもう一口お茶漬けを口に運んだ。 なんだか。 今日は少しだけ、 味が分かる気がした

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