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第67話

洗濯物も終わった。 二人で畳んだ服は綺麗に片付けられている。 「よし」 満足そうに頷く。 そんな湊を見て、 榊原は苦笑した。 「じゃあ風呂入ってきな」 「……はい」 素直に頷く。 着替えを持って浴室へ向かった。 シャワーを浴びる。 そして湯船に浸かる。 ふぅ、と息が漏れた。 湯船は嫌いじゃない。 むしろ好きだと思う。 ただ。 自分でお湯を張ってまで入ろうとは思わない。 シャワーだけで済ませることがほとんどだった。 だから久しぶりだった。 肩まで浸かる。 じんわりと身体が温まっていく。 気づかなかった疲れが、 少しずつ溶けていくような気がした。 知らない土地。 知らない職場。 コンビニの仕事。 役所の手続き。 引っ越し。 全部一人だった。 大変だったわけじゃない。 でも。 少しだけ手こずった。 少しだけ疲れた。 そんな気がする。 ぼんやり天井を見上げる。 すると。 「湊ー」 扉の向こうから榊原の声が聞こえた。 「はい」 「着替え置いとくからな」 「ありがとうございます」 足音が遠ざかる。 湊は湯船の中で小さく息を吐いた。 不思議だった。 榊原は手際がいい。 料理もする。 洗濯もする。 仕事もできる。 人の面倒も見れる。 なのに。 部屋だけは片付かない。 なんでなんだろう。 湯船の中で考える。 時間がないから。 忙しいから。 それもあるかもしれない。 でも。 それだけじゃない気がした。 洗濯機を回すことはできる。 料理もできる。 ゴミもちゃんと捨てている。 生活はできている。 なのに服だけが散らかる。 「……」 もしかしたら。 片付けられない原因があるのかもしれない。 自分が知らないだけで。 そう考えると少しだけ気になった。 聞けば答えてくれるだろうか。 そんなことを考えながら、 湯船の中でゆっくり身体を伸ばした。

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