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第69話

次に目が覚めた時には、自分のスマホのアラームが鳴っていた。 聞き慣れた音。 止めようと手を伸ばす。 でも眠い。 布団の中が暖かい。 「起きろー」 どこか呆れた声が聞こえる。 「……」 「起きろー」 「起きてます」 「その返事をするやつは起きてない」 榊原に布団を剥がされる。 少し寒い。 仕方なく身体を起こした。 寝ぼけたまま洗面所へ向かう。 顔を洗う。 歯を磨く。 鏡を見る。 少しだけ顔色が良かった。 リビングへ戻る。 テーブルには朝食が並んでいた。 「朝飯作っといたから」 「はい」 椅子へ座る。 「とりあえず飯食って」 「はい」 「着替えて」 「はい」 「寝そうじゃん」 「はい」 「聞いてる?」 「はい」 「聞いてないな?」 榊原が笑う。 湊は味噌汁を飲む。 温かい。 眠い。 「バイト遅れるよ」 「はい」 「急ぐ気ある?」 「あります」 即答だった。 でも。 お茶を飲む手は止まらない。 「ないだろ」 「あります」 「じゃあなんでそんなゆっくり食べてるの」 「美味しいので」 榊原は一瞬黙る。 「……それは仕方ないか」 「はい」 「甘やかした俺が悪かったな」 そう言いながらコーヒーを飲む。 湊はそんな榊原を見ながら、 もう一口味噌汁を飲んだ。 なんだか。 こういう朝も悪くない気がした。

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