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第82話
また前の仕事場に手伝いで呼ばれたある日。
現場が終わる。
「榊原さんに呼ばれてるよ」
スタッフに言われる。
湊は控室へ向かう。
ドアを開ける。
「呼びました?」
「お」
榊原が振り返る。
そして。
近付いてくる。
「?」
何か話があるのかと思った。
でも。
ぎゅっ。
突然抱きしめられる。
「……?」
湊は固まる。
意味が分からない。
「榊原さん?」
「んー」
返事が曖昧。
「どうしました?」
「ちょっとだけ」
肩に顔を埋めたまま言う。
「このまま」
「……」
「疲れた」
ぽつり。
本音だった。
地方。
撮影。
取材。
移動。
寝不足。
色々重なっていた。
「だから」
少し笑う。
「充電させて」
「……充電」
「うん」
湊は考える。
よく分からない。
でも。
嫌ではなかった。
だから。
「少しなら」
そう答える。
榊原は小さく笑った。
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