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第100話
休憩も終わり、
湊は再び仕事へ戻っていた。
資料を運ぶ。
スタッフの手伝いをする。
久しぶりの現場だったが、
体はちゃんと覚えているらしい。
「湊ちゃんこれお願いー」
「はい」
頼まれた荷物を持ち上げた時だった。
「あれ?」
聞き覚えのある声がした。
振り返る。
そこには見覚えのある男性が立っていた。
「こんにちは」
「あ」
どこかで見た顔。
少し考える。
そして思い出した。
コンビニだ。
榊原を迎えに来る前にに会った。
「こんにちは」
湊が頭を下げる。
すると相手は少し驚いた顔をした。
「覚えててくれたんですね」
「顔を見たことがあったので」
その返事に久地は笑う。
「そっか」
少し嬉しそうだった。
「あ、俺」
「久地(クジ)って言います」
「知ってます」
「え」
今度は久地が驚く番だった。
「最近人気が出てる」
湊がそう言うと、
久地は吹き出した。
「ありがとうございます」
「なんか照れるなぁ」
そして少し周囲を見回してから、
湊へ近付く。
「実は前から気になってたんですよ」
「?」
「榊原さんが探してた人」
「探してた?」
久地はしまったという顔をした。
「いや」
「なんでもないです」
ごまかし方が下手だった。
湊は首を傾げる。
「そういえば」
久地が話題を変える。
「コンビニのバイト続いてるんですね」
「はい」
「頑張りますね」
「そうですか?」
「そうですよ」
久地は苦笑した。
あの時の榊原を思い出す。
湊が辞めた。
引っ越した。
連絡がつかない。
その話を聞いた時の榊原。
正直。
かなり怖かった。
「……」
久地は少しだけ笑う。
「見つかって良かったです」
「?」
また意味が分からない。
「気にしないでください」
そう言って久地は頭を下げる。
「じゃあ仕事戻ります」
「はい」
久地が去っていく。
湊はその背中を見送りながら考える。
探してた。
見つかって良かった。
何の話だったんだろう。
結局分からないまま、
また仕事へ戻るのだった。
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