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第102話
別日に前の職場の手伝いへ来ていた。
いつも通り雑用をこなしていた時だった。
「あ」
一瞬だった。
紙で切ったのか。
段ボールだったのか。
気づいた時には指から血が流れていた。
「湊ちゃん!?」
近くにいたスタッフが慌てる。
「血出てる!」
「誰か救急箱!!」
急に周囲が騒がしくなる。
そこへ。
「どうした?」
榊原が現れた。
事情を聞くなり、
湊の手首を軽く掴む。
「ちょっと借りる」
そのままスタッフルームへ連れて行かれた。
椅子へ座らされる。
「見せて」
言われた通り手を差し出す。
榊原は傷口を見るなり眉をひそめた。
「結構切ってるじゃん」
「そうですか」
「そうだよ」
救急箱を開ける。
消毒。
絆創膏。
手際がいい。
「しみる?」
「少し」
「我慢」
「はい」
数分後。
綺麗に手当てが終わった。
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
榊原は立ち上がる。
「次から気を付けてね」
そう言い残して仕事へ戻っていった。
湊も手伝いへ戻る。
すると。
「湊ちゃん」
スタッフに呼ばれた。
「怪我悪化すると悪いからさ」
「今日は見学でいいよ」
「え」
「無理しなくていいから」
「でも」
「ダメ」
即答だった。
椅子へ座らされる。
結局。
みんなが働いているのを見ているだけになった。
「……」
手を見る。
小さな絆創膏。
たったこれだけなのに。
何もできない。
俺がいる意味ってなんだろう。
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