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第30話

 道慈は何もわかっていない。道慈だけじゃ足りないなんてこと、ありえない。もうずっと、人生の大半の期間道慈の一番が欲しかった。幼い頃に野球をやっている道慈を初めて見た時から、道慈の目の中に自分だけが映る日を夢想していた。  広いベッドの上で、上に重なってきた道慈に何度もキスされる。何度求めても無視されていたものが際限なく与えられ、雪丸は脳がキャパオーバーしそうになっているのを感じていた。  その上道慈の手が愛撫するかのように触れてくる。たまらない。  道慈が上半身にそういう意図で触れるのは初めてだった。豆が潰れて硬くなった手のひらが横腹から胸へと筋肉を辿るように上がってくる。 「ふっ……ぁ、」  くすぐったいような刺激に身体がぴくぴくと反応する。  同時に耳介に唇を落とされて、心臓が激しく音を立て始める。 「ずっと赤いな……ここ……」  囁かれてさらに耳が熱くなる。  受け身でいるより自分から動く方が好きなのに、触られるのが嬉しすぎて身体がもっと触られるのを待ってしまう。今もただ道慈のスウェットの背中を握っているだけだ。  耳に何度も口付けられ、くすぐったさに肩が上がる。 「あッ……!」  生温い感触が耳介に這う。軟骨につけたピアスごと舐められる感覚に背中が粟立った。  大きな舌先が軟骨の狭間に無理矢理入っては舐めていく。自分では見えないところを舐められるくすぐったさと気持ちよさに一生懸命道慈の背中に抱きつく。耳を責められてこんなに感じるのは初めてだ。下手したらまた誤爆しそうだった。 「だめ、んっ、どうじ……!」  自分で言ってから、一回逝ったなら二回も三回も一緒かと思った。どうせなら、もっとたくさん恥ずかしいところを道慈に見てほしい。 「みみ、きもち……」  道慈の呼気が耳の中に直接入ってくる。どくどくとこめかみが期待で脈打っているのを感じた。ずるりと耳の中に入ってきた軟体の感触に、下半身が一気に熱くなる。 「んっ、ぅあ、は……!」  思わず道慈の腹に自身の下腹部を擦り付ける。ぐち、と下品な音がした。  そのまま耳の中を舌で犯される。自分がするならまだしも、道慈が自分の耳を犯している倒錯感に頭がくらくらしてくる。 「んっ、んッ」  水音が直接脳みそに届いてくる。ぞりぞりと耳の中を這う舌の感覚に背中が震え出す。 「ぁ、や、やば……いッ――!」  快感に腰が跳ねる。どくりとボクサーパンツの中に熱いものが広がる感覚があった。  はぁ、はぁと荒い息を継ぐ合間に自身の口端から涎がこぼれた。遅れて自分の顔がまるで舐めてほしいと言うかのように完全に横を向いていたことに気づいた。  道慈が頭を撫でてくる。こめかみの生え際を親指でなぞられるとそんなところからも快感が湧き出てくる。 「どうじ、脱がせて、」  パンツぐちゃぐちゃ。そう言って下半身を擦り付けると、ようやく道慈の手がズボンを下ろしてくれる。ズボンとパンツを下ろされるのを腰を上げて手伝う。濡れないようにハイネックのニットが腹まで捲り上げられた。  精液で汚れた股座を膝裏を掴んで晒す。 「道慈に耳舐められたら、逝っちゃった。俺の恥ずかしいとこ見て」 「……乗ってきてんな」  道慈がちらと下半身に目を向けてから、暑いのかスウェットの上を脱いだ。ふわりと道慈の汗の匂いがして、嬉しくて素肌の背中に抱きつく。 「おれも、上も脱がせて。ちゃんと全部触って」 「ああ。全部な」  道慈の手がニットを捲り上げて脱がしてくれる。裏返しになったニットを元に戻そうとした道慈の手が不意に止まった。 「お前これどうした」  道慈の手がやや左寄りの胸の中心部、桃色の皮膚に覆われた部分に触れた。もう痒みも圧痛もなく、見た目以外は完治していた。 「シチューこぼした」 「シチュー……? どうやってこぼしたらこうなんだよ」 「ばちゃってこぼした」  道慈の手からニットを奪って床に放る。代わりに片手を繋いで引っ張る。道慈は納得していないような顔で見下ろしてきた。 「汚い俺の身体は触りたくねぇ?」  首のあざも胸の火傷も未だに痕が残っている。腹の刺青は昔の女に入れてもらったものだし、横腹の刺し傷は一生痕に残るだろう。ピアスホールすら女が開けたものだった。  体に何かを刻まれるのは、思いを直接感じられるので嫌いじゃなかった。 「そうじゃねぇよ……普通に心配するだろ、この大きさの火傷は。痛かっただろ」 「今は痛くねぇよ。なでなでして」 「……これも女にやられたのか」 「今からやるのに俺以外のやつの話すんなよ」 「……それはずるいだろ」  片手は繋いだまま、そっと火傷痕が撫でられる。道慈は呆れとも嫌悪ともつかない複雑な顔をしていた。 「道慈も俺になんかつけていいよ。道慈の名前ここに掘る?」  片膝を持ち上げて股の付け根を指差す。 「掘るかバカ」 「ペンでもいいぜ。道慈専用って書いて」  自分で言って興奮してきた。道慈の手で道慈専用の肉便器って書いてほしい。考えるだけで睾丸が上がってくる。そのままたくさん犯して中出ししてほしい。逆でもいい。道慈の引き締まった尻に書いたらエロすぎて鼻血が止まらなくなりそうだ。  道慈の顔が明らかに引いている。そういう性癖はないらしい。 「どうじ、つづきは……?」  道慈の筋肉質な上半身を眺めながら勃ち上がったものを軽く扱くと、道慈がため息をついた。    全部触ってとは確かに言った。しかしここまでとは思っていなかった。  道慈の唇が背骨をなぞる感覚に背中が反る。散々胸から脇の下から腹から臍まで全部舐られた後に今度は四つ這いにさせられた。やっと入れてもらえると安堵した後、背中にキスされてもうどれだけ時間が経ったのかわからない。  ほとんど触られていないのに何度か達してしまったものが惨めに涎を垂らしていた。  構ってもらうのは嬉しいが、そろそろ挿れてほしい。 「ど、うじ、もう、もういいっ、挿れて、」  道慈が答えないまま腹に手を回し、臍から下腹部の刺青をくすぐってくる。 「まだ全部じゃねぇ」 「ぁ、あ……っ、もう、じゅうぶん……!」  濡れた陰茎が反応するようにそりかえる。主張するものには触れてもらえないまま、シーツを握る。  唇が肩甲骨の盛り上がりに触れる。見えないからいちいち次はどこに触れるのか、どこを舐められるのか考えてしまう。  腹に回った手がじわじわと上がってきて、さっき散々いじめられた胸の突起の周りを撫でる。敏感になっている先端を触って欲しくて、無意識に胸を反らせてしまう。 「んっ、は、あ……もう、」  凹んだ背中に唇が寄せられる。何度も唇がつけられては離れていく感覚に焦ったいのと満たされるのが同時にくる。まるでこの身体がそこまで丁重に扱うべきものだと言われているかのようだった。  口を閉じていられず、俯いた瞬間唾液が唇からこぼれる。  腕で身体を支えらのが疲れて、クッションに腕を重ねて額をつける。そのまま腰もしゃがんで丸くなりたかったが、道慈の手に腰を支えられて下がれない。  胸の突起の周りを指先が撫でては離れていく。思わず道慈の手の動きを凝視してしまう。太い指先が器用に動いているのがいやらしくて、でも焦ったくてむかむかする。 「さわって、ん、ちゃんと、」  道慈の体温が離れた。ぱきりと音がする。ローションを開ける音だ。やっと挿れてもらえるのかと期待に腰が震えてくる。勝手に後孔がひくつきだす。 「腕疲れたか?」 「いいから、早く、」  道慈の唇がうなじに触れる。くすぐったさに肩を上げると、太ももに硬い熱が当たった。やっと挿れてもらえる。じらされすぎて身体が熱かった。  熱を穴に当てがわれるのを想像した瞬間、濡れた指が胸の突起に触れた。 「ッ、そっち……っ、んッ、ぅあ、」  ぬめる指に先端をくるくると撫でられる。いつ挿れてくれんだよと涙が込み上げてきた。  それでも刺激が気持ち良くて自ら胸を指に押し付けてしまう。 「や、どうじ、あっ、」  道慈が答えるように頭にキスしてくる。  嬉しいけど。嬉しいけどっ。  優しく何度も下から上に撫で上げられると腰が震える。もうこんなことで逝きたくないのに。そう思う一方で、放置されているもう片方も触ってほしくて、自分で弄る。  道慈の手の方が気持ちよくて、フラストレーションに腰が揺れ始める。 「あっ、ア、んっ」  こっそり涎を垂らしているものを握ろうとしたら、雪丸、と嗜められる。  さっきから何故か前を触らせてもらえない。仕方なく自身の突起に手を戻して、必死に指で撫でる。こんなに本格的に乳首で自慰じみたことをするのも初めてだった。どれだけ頑張っても道慈の指の方が気持ちいい。三回だけ竿を擦らせてもらえればいけるのに、刺激の足りなさがもどかしくて腰が揺れる。せめて道慈がどっちも触ってくれればいいのに。さっきはそうしてくれたのに。 「はぁっ、はッ、どうじ、いきた……!」  顔の横につかれた道慈の腕に縋りついてこめかみを押し付ける。道慈の唇が耳に触れた。さっき舐られた方とは逆側だった。 「っあ……」  べろりと耳が舐められる。道慈の吐息が最初よりずっと湿っぽくなっているのがわかった。道慈も興奮しているようだった。性感帯を構ってもらいながら、道慈の発情を間近に感じて、頭がカッと熱くなる。 「んっ、うッ……んううッ!」  びゅるとシーツの上に何度目かの白濁が飛んだ。 「上手だな」  頭を撫でられて耳元で褒めてもらえて、ただ触れずに射精しただけなのに恍惚感と謎の達成感までやってくる。変な教育をされている気がする。道慈は陰茎に触れずに男を逝かすのが好きなのだろうか。そんな毎回できるかわかんねぇぞと雪丸は達成感の裏側に一抹の不安を覚えた。  雪丸は荒い息を整えながら、再び腰のあたりの背骨にキスし出した道慈に驚きを禁じえなかった。    もしかして俺のケツに穴があること忘れてる?  雪丸は驚きのあまりありえない思考に至りつつあった。 「どうじ、こっちも、こっちもして、」  頬をクッションに預けて、自らの尻を両手で割り開いて見せる。もう自分で拡げようと、濡らしてもいない指を差し込もうとしたら、そっと手を掴まれた。そのまま指先にも口付けられ、思わず手探りで口を摘む。 「もう、いい、ちゅーもういい、挿れて、」  「うん、あとでな」 「やだ、もう欲しい。道慈のチンポ入れて、ケツマンコにして。いっぱい奥ついて、俺で気持ちよくなって」  太ももに当たる道慈のものが大きくなるのを感じた。雪丸は急いでだるい体を起こした。 「俺道慈の言うことたくさん聞いたよな。ご褒美ちょうだい」  ちんこ触っちゃダメ縛りにも文句も言わず付き合った。  膝立ちの道慈の目の前に正座で座り込み、スウェットを引き下げる。 「ほら、フェラしてあげる。チンポ出せ」  自分のものは全然触ってもらえなかったのに相手のはやってあげるなんて、なんて良いやつなんだろう俺はと雪丸は自画自賛した。  パンツも脱がせてやってから、ベッドに座った道慈のものに口を近づける。先端に口付けると、道慈が唾を飲む音が聞こえた。 「たまでっか。かわいい」  陰毛を掻き分け、陰嚢の皮を食むようにして引き伸ばして遊ぶ。道慈が髪を柔く掴んでくる。一つの睾丸を口に含むと、それだけで口がいっぱいになる。一物の方は先端すら咥えられなかったので、咥えられるのが嬉しい。  口をいっぱいにする球体を口の中でなんとか転がしていると、道慈が目を細めて見下ろしてくる。 「ひもひい?」 「ん、いい……」  頭を撫でてくれる。快感を耐えている顔が可愛い。  右手を道慈に差し出す。 「ほーひょんはひて」  道慈が理解したのか、手のひらの上にローションを出してくれた。口から睾丸を出して、もう一つを咥えながら、道慈の先端から竿にローションを塗り込めていく。片手じゃ回り切らないので両手で塗りたくった。 「ん、」  道慈が眉を寄せる。ひとしきり睾丸で口の中を満たして楽しんだ後、ローションに塗れた裏筋を舐め上げる。 「っ、」  左手で竿を扱きながら傘の部分を舌でなぞる。自身の右手を股の下を通してアナに入れる。  指2本なら簡単に入るが、一月前に道慈とやって以来使っていないので若干狭くなっていた。 「雪丸、ちょっといいか」  道慈に髪を引っ張られ、顔を上げる。 「気持ち良くなかった?」  目を瞬いて聞くと、いや気持ちいいと素直な感想が返ってきた。道慈は覚悟を決めてしまえばこんなにもエロに対して前向きになるのかと思った。前回口淫した時の罪悪感の滲んだ表情とは大違いだ。 「ここ座れ」  道慈が自身の腹の上を指さした。まだしたかったんだけどと不満をこぼしながら、道慈の下腹部を跨ぐと、逆向きと背中を向けさせられた。  そのまま道慈が寝転がり、太ももを引き上げられる。 「げっ……! バカ、」  気づいた時にはもう遅い。  雪丸は咄嗟に道慈の太ももを掴んでバランスをとった。引きずられる過程でそり返った巨大な一物に頬を打たれる。  それはいいとしても、道慈に馬乗りになったため、雪丸の下半身全てが道慈の顔の前にあるのがまずかった。 「お前にシックスナインはまだはえーよ!」  雪丸は思わず本気で突っ込んだ。ノンケが何してんだよと衝撃を受けていた。たしかに道慈に見られるのはぞくぞくして好きだが、これは近すぎる。ここまできて萎えられたらたまったものじゃない。 「まだ早いってなんだよ」 「ゲイセックス2回目のビギナーがやっていいことじゃねぇんだよ。俺はまんことクリじゃなくてちんことケツしかねぇんだぞ!」 「そんなこと知ってる」 「わかったら体位変え――うおっ!」  起きあがろうとした瞬間、ずっと放置されていた一物が握って下される。裏筋を根本に向けて舐め上げられる感覚に道慈の腰を掴む手が震える。 「あっ……!」  まずい。放置されすぎて刺激に敏感になっている。すぐに逝ってしまいそうだ。その上シチュエーションが脳に悪すぎる。  雪丸は道慈が自身のものを舐めているという事実にびきびきと自身が育っていくのを感じていた。 「どこが気持ちいい?」  道慈の声音は相変わらずだった。雪丸はひとまず道慈のものが萎えていないのを確認して、快感に身を任せた。 「そこ、きもち……」  道慈の舌が裏筋を往復する。同時に先走りを塗り込めるように指で先端を擦られると、腰が震えてしまう。 「あ、も、いく、いくから、はなせ……!」  腰を上げようとしたら、ガッチリと太ももを掴まれて固定される。竿を扱かれながら先端を舐められるとダメだった。 「あっ、も……ぅッ――!」  今日初めてまともに触っていかせてもらえたためか、勢いよく熱が吐き出された。舌の感触が先端から離れない。  むしろ受け止められた気がする。やりすぎだ。 「道慈、口、おま……吐き出せよ」 「俺が好きでやってるから気にすんな」 「好きでやってんの……?」  そんなことありえんの……? そう思っていたら、今度は尻の中に濡れた節くれだった指が入ってきた。 「……せめぇな」  道慈がぼそりと呟いた。びくっと身体が反応する。 「で、できるから。ちゃんと、」  性器をやんわりと握られたまま、中を探られる。このままの体勢で続けることに不安と興奮でないまぜの感情のまま、とりあえず道慈のものを握った。  気持ちよくしてあげなきゃ。今のところ道慈に翻弄されているだけで何もできていない。  両手で扱きながら、先端に口付ける。割れ目に何度も舌を這わせながら追い立てていく。 「んんッ……あッ、まっ」  良いところを見つけられてしまった。指に優しく撫でられ、道慈を跨いだ膝を強く締め付けてしまう。  気持ちよさに腰が座りそうになるのを必死に耐えながら、先端に吸い付く。手を止めずに扱いていると、道慈の腰がぴくりと反応した。  道慈が感じているのが嬉しい。まさかこんなエッチな態勢で道慈と絡めるなんて思ってもみなかった。興奮のあまり息が必要以上に荒くなる。 「はぁっ、ん、」  唾液をたくさん出して塗りつける。指が一度抜かれて質量を増して入ってくる。入り口を広げられる感覚を覚えながら、手と舌を動かす。  ずっと舐めていたい。道慈の分厚い手が尻を撫でてくれるのが心地いい。 「ん、雪丸、出そうだから……もういい」  道慈の指が前立腺を優しく撫でてくる。快感に身を任せたくなるのを唇の内側を噛んで抑えながら、手で扱く。 「ぁッ、はぁっ、そこ、やだ、ずるい」  もういつもだったらとっくに逝ってる。気持ちよさに身を任せたい気持ちと、気持ちよくしてあげたい気持ちが拮抗していた。 「雪丸、も、良いから手離せ」 「やだ、おれも……んっ」  先端を咥え直すと、気持ちよくてひっきりなしに唾液が出てくる。必死に舐めながら、組んだ手を上下に動かす。 「雪丸、出る、口離せ……っ」  その言葉に離さないようにしゃぶりつく。口内に勢いよく青臭い熱が吐き出された。 「ん、ん、ぶは、」  できるだけ飲み込んで、結局息ができなくて最後は舌に垂れ流しだ。相変わらず量が多い。  道慈に脇腹を押され、ふらふらと上から退く。ベッドの上に寝転がると、視界が一瞬白で覆われた。口の周りをティッシュで拭われながら、雪丸は道慈の顔を見て笑ってしまった。  もうずっと見たかった自分に汚された道慈の顔を見て、最初に込み上げたのは情欲よりも笑いだった。慣れないことをしている道慈が可愛くて愛おしい。 「自分の顔拭けよ」  道慈の口元を親指で拭いてやる。 「……ああ」  道慈は思い出したように自分の顔もティッシュで拭っている。雪丸は裸の後ろ姿を見ながら、くすぐったさのようなものを感じていた。まるで本当にカップルのセックスみたいだ。恋人同士ってこんな感じなのだろうか。  道慈。呼ぶと、振り向いて水を渡してくれる。受け取った水を飲んでから、グラスを返す。自身も一口飲んでからサイドテーブルにグラスを置いた道慈の背中に抱きついた。 「なぁ、早くエッチしよ。あ、口ゆすいできてもいいぜ」  道慈は振り向くと、首に手を置いて口付けてきた。  しつこいほどに時間をかけて慣らされて、体はぐずぐずになっていた。もう何度逝かされたかわからない。頭がずっとぼうっとして、思考が曖昧だった。  ただずっと快感と安心感の中にいる感覚だ。覆い被さってくる道慈の首に腕を回す。  先端があてがわれる感覚に、熱っぽい息が溢れる。 「痛かったら言えよ」 「うん」  ぐっと先端がめり込んでくる。 「ゔぁ……!」  この瞬間はやっぱり苦しい。道慈の首にしがみついて必死に耐える。これさえ耐えれば、気持ちいいのが待っている。身体の中を道慈で満たしてもらえる。  ずぽ、と先端が抜ける。そのまま良いところを抉りながらゆっくりと中に入ってくる。 「あっ、あッ、」  中をこじ開けるように進む存在感にぞくぞくと背中が震える。刺激の強さに眩暈がした。 「うっ、あ゙ぁッ!」  奥まで行き着いた感覚に全身が歓喜する。中が勝手にうねる。道慈の苦し気な呼気が聞こえる。道慈と繋がっている。実感するほどに、気持ちよさが止まらなくなる。 「はぁっ、ア、あぁぁッ!」  全身が震えてふわふわとする感覚。目の前がチカチカして、必死に道慈に縋り付く。  唇を奪われる。分厚い舌がすぐに入ってきて口の中を満たした。  道慈も興奮しているのか、荒々しく中を動き回る舌が気持ちいい。 「んっ、ぷはっ、んんッ」  息継ぎがうまくできない。僅かに唇が離れて酸素を取り込もうとした瞬間、また唇が塞がれる。自分の口の中なのに好き勝手される感覚が苦しいのに気持ちよくて、頭を抱き寄せる。 「はっ、ふぁ、んんっ」  口ごと食べられてしまいそうだった。苦しさに身体が強張り出す。喉がひくりと鳴った。無意識に中も締め付けてしまい、道慈の熱を感じてさらに息が荒くなる。吸う息も吐く息も全部道慈に食べられる。 「ん、んんっ、ん――ッ!」  苦しくて気持ちよくて訳がわからないまま身体が痙攣する。視界が霞み始めた瞬間、唇が離れた。 「は、わるい、苦しかったな」  道慈の手が汗で張り付いた前髪を掻き分け、目尻を拭ってくる。その刺激にすら身体が勝手に反応する。 「んッ、はぁっ、は、ごほっ、はぁ」  むせながら呼吸を整えていると、道慈が頭を撫でてくれる。見下ろしてくる顔が少し申し訳なさそうに眉を下げている。 「ふっ、はぁ、はっ……すき、どうじ……すき……」  だるい身体を動かして足を分厚い腰に絡ませる。角度が変わる刺激に喘ぎながら道慈に抱きつく。  めきめきと熱が中で大きくなるのを感じた。 「ん……動いても大丈夫か?」 「はぁ、は、ゆっくり、」 「ん、ゆっくりな」  凶悪な熱の塊がのろのろと出ていく排泄感に全身が粟立つ。 「あっ、ああッ、そこぉっ」  途中前立腺に引っかかる感覚に、道慈の首に絡めた腕が震える。そうして抜け切る寸前まで抜かれて、ゆっくりと水音を立ててまた押し込まれる。  何度もそうされるうちに、また全身が痙攣してくる。 「うああっ、だめ、ゆっくりだめっ……!」  勝手に涙が出てくる。押し込まれる度に奥が勝手にきゅうきゅう締まり、それが気持ちよくてしょうがない。 「いっ、いってう、いってるっ、」 「ん……いってるな」  言いながら道慈は腰を止めなかった。何を言われたかはわからなかったが、受け入れられている気がして安心する。良いところを抉られるのを無防備に受け入れてしまい、また快感に頭を犯される。 「悪い、ちょっと早くするぞ」  気持ちよくてもう降りてこれない。重なった腹の上はいろんな液体でぐっしょりと濡れていた。道慈がきつそうな声で言ってきたのに理解もしないまま頷いて縋り付く。  ぐちゅりと激しい水音を立てて引き抜かれ、次の瞬間には奥まで貫かれる。 「あッ――! アッ、ひぐっ」  何度も良いところを擦られ、奥を抉られる快感に何も考えられなくなる。 「はむ、んっ、ンン、」  必死に呼吸を継いでいた口を口で塞がれる。その合間にも奥を突かれ、また苦しいのと気持ちいいのが一緒に来る。苦しくて気持ちいい。苦しいのが気持ちいい。道慈がくれることはなんでも気持ちいい。 「ん、んんっ――、はあっ」  酸素が足りなくて心臓がばくばくと音をたてる。視界が霞みそうになった瞬間口を離される。ぼやけた視界の中で必死に息を継いでいると、頬にぽつりと汗が落ちてくる。  奥を穿たれる刺激に腰が震える。 「また、またっ、くる、どうじ、」 「はぁ、俺も、出す……」  力一杯道慈の体に抱きつくと、太い腕に強く抱きしめ返された。  びくんびくんと身体が跳ねて、また快感の波に飲みこまれる。中で道慈の熱がゴム越しに吐き出されたのを感じた。

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