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第9話 Kisses to Seal the Vow(誓いのキス)
レオンは直人の言葉を、唇で塞いだ。
それは「おじさん」などという卑下を、
許さないという抗議のキスだった。
最初は、あふれ出る想いをぶつけるような、
乱暴で、けれど泣き出しそうなほど切ないキス。
5年分の「会いたかった」「愛している」「やっと僕のものだ」という感情が、
言葉にならないまま、直人の口内へと流し込まれていく。
直人は驚きに目を見開いたが、
すぐにレオンの背中に腕を回し、
その引き締まった身体を強く抱きしめた。
それは、レオンの1800日を受け入れるという、
直人なりの覚悟の証明だった。
唇が離れると、
二人の間には、熱い吐息が絡み合う。
「……直人さん、直人さん……!」
レオンは直人の顎を上向かせ、
今度は深く、深く、
愛を刻み込むようなキスを落とした。
直人の唇、頬、鼻筋、まぶた、
そして耳の後ろ。
壊れ物を扱うような優しさと、
独占欲に満ちた激しさが交互に押し寄せる。
レオンの指先が、直人のボタンを一つ、
また一つと外していく。
けれどその手は、震えていた。
指先が直人の鎖骨に触れた瞬間、
レオンは再び直人の唇を塞ぎ、
直人は小さな声を上げた。
「あ……っ、……レオン、お前、……手が震えて……」
「……当たり前です。
僕は、あの日から、この瞬間だけを、
この温もりだけを想って、
……死ぬ気で生きてきたんですから……」
レオンは直人の首筋に顔を埋め、
貪るように唇を寄せた。
「ここは僕のものだ」と刻み込むように、
何度も、
何度も、
慈しむような口づけを全身に落としていく。
直人の逞しい胸元、
長年の作業で刻まれた古傷、
その全てが、レオンにとっては宝物だった。
若者は男をベッドに沈めると、
その上に覆い被さり、
直人の目からは、一筋の涙が溢れた。
それは悲しみではなく、
あまりにも深い充足感と、
ようやく見つけた「安らぎ」への安堵だった。
「泣かないで。
……いえ、僕の前でなら、いくらでも泣いていい。
……これからは、僕があなたのすべてを受け止めますから」
レオンは直人の涙を指で拭い、そのままその指を自分の唇で湿らせる。
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