35 / 37

二重の拘束と、愛玩具(シリコン)への宣戦布

直人の「一人の時間(安眠)を確保したい」という切実な願いから始まった作戦が、レオンの「度を越えたポジティブな解釈」と「無機物にさえ牙を剥く嫉妬心」によって、さらなる迷走を見せる番外編です。 番外編 1. 整備士の完璧なる防衛策 横須賀基地での激務を終え、ようやく手に入れた二人揃っての休日。 だが、直人には一つだけ深刻な、そして切実な悩みがあった。 隣に座るエリート3佐・レオンの視線が、 ここ数日、明らかに「休暇をすべてベッドの上で費やす」と決めた猛獣のそれなのだ。 このままでは、身体が持たないどころか、 録り溜めた番組を消化することさえままならない。 (……これだ。これしかない) 直人は、意を決して紙袋を差し出した。 中には、最新型の超高級シリコン製オナホール。 「……おい、レオン。これ、やるよ。お前へのプレゼントだ」 「僕への……? 直人さん、これは……」 レオンが嬉しそうに目尻をさげる。 「ああ、そうだ。いいか、レオン。お前、たまには……その、自分で『発散』するってことを覚えろ。それを相手に、今夜は……うまくやってくれ。頼むから、おれを寝かせてくれ」 直人は、自分の「大人の配慮」と「完璧な作戦」に内心でガッツポーズを決めた。 これで今夜は八時間、泥のように眠れるはずだ。 一方のレオンは、シリコンの感触を確かめながら、 その瞳を熱っぽく潤わせていた。 (……直人さん。わざわざこんなものを用意してまで、僕との夜をさらに『深化』させようとしてくれるなんて……。なんと、なんと献身的な愛だ……!) 「分かりました、直人さん。あなたのその期待……全力で応えてみせますよ」 「おう、分かってくれりゃいいんだ。じゃあ、おやすみ!」 直人は意気揚々と寝室へ向かった。 二人の間の致命的な「ズレ」に、一ミリも気づくことなく。 2. 開幕:すれ違いのプレリュード 「……待て。レオン、なんでお前がここにいる」 一時間後。 寝室に入ってきたレオンは、一人で発散するどころか、 無駄のない動きで直人をベッドに押し倒した。 「直人さん、準備はできていますよ。あなたがくれた、この『画期的な道具』を使う準備が」 「は? いや、だから、それはお前が一人で使うための……っ、あ……っ! 冷てぇ!!」 直人の抗議は、 冷たいローションと共に、 自身の昂ぶった場所に無理やりオナホールを被せられた衝撃でかき消された。 「お前……っ、何考えてんだよ! それはお前が一人で使うためのもんだろ!?」 「一人で? いえ、直人さん。そんな寂しい使い方は失礼です。これはあなたに装着し、僕が後ろから抱くことで、あなたに『前後の同時快感』を与えるための……最高のご褒美でしょう?」 「違う! 断じて違う!! おれの言葉のどこをどう解釈したんだよ!!」 3. 地獄の二重奏と、ねっちこい蹂躙 だが、一度火がついたレオンの暴走は止まらない。 レオンは直人の逞しい双丘を割り、自身の熱い楔を、直人の後ろの穴へと一気に沈め込んだ。 「……ひ、あぁぁぁっ!!」 背後から脳を揺さぶるようなレオンの衝撃。 それと同時に、レオンの空いた手が、 直人のモノに被せられたオナホールをがっしりと掴んで激しく上下させる。 「見てください、直人さん! この感触、あなたの締め付けを何倍にもして僕に伝えてくれる……。天才ですか、あなたは!」 「天才じゃねぇよバカ!! 離せ、……っ、あ……ぁ、……やめ……っ、同時は……狂う……っ!!」 レオンの腰使いは次第に粘り気を帯び、 直人の最奥——最も敏感な場所を、肉壁を削り取るように深く、重く突き上げる。 一突きごとにじっくりと時間をかけ、引き抜く時はわざと速度を落として内壁を逆撫でする。 「……ん、……っ、……レ、オン……それ、……ひ、酷……っ、あ……っ!」 背後からの、粘膜を直接引き摺り出すような重厚な摩擦。 それと同期するように、レオンは手にしたオナホールをさらに強く、ミチミチと音を立てるほどに握り込み、ひねりを加えた。 「ほら、前もこんなに……。シリコンの襞(ひだ)があなたの先端に絡みつくたびに、腰が跳ねていますよ。……直人さん、あなたは今、僕とこの玩具に、全身を隅々まで解体されているんです」 「あ、……あぁぁぁっ!! やめ、……っ、出し……っ、もう、出る……っ!!」 「ダメです。まだ中の僕を、こんなに必死に締め付けているじゃないですか。……ほら、もっと感じて。もっと僕を感じて、可愛い顔を見せて……」 4. 修正:愛玩具への理不尽な嫉妬 しかし、絶頂が近づくにつれ、レオンの心境にある「影」が差し始めた。 手の中で、オナホールが直人の熱を帯び、 直人の吐息に合わせて卑猥に蠢いている。 直人は今、自分の質量だけでなく、 この「ただの塊」によっても声を上げ、腰を跳ねさせている。 (……この感触……この、締め付け……) 「……直人さん」 「ん、……ぁ、……レオン、……っ、もう、……っ!!」 レオンは突然、腰の動きを止め、直人を掴んでいたオナホールの動きもピタリと静止させた。 「……っ!? ……おい、……なんで、止める……っ」 直人は、絶頂の淵で放り出され、涙の浮かんだ瞳でレオンを振り返る。 「……なんか嫌です。……、気に食わない」 「……はぁ? ……何が、だよ……っ」 レオンは、手元のオナホールを忌々しげに睨みつけた。 「あなたが僕以外のもの……たとえ、あなたが用意したただのシリコンの塊であっても、それでこんなに可愛い声を出し、中をヒクつかせているのが耐えられない。僕のプライドが許しません」 「……お前……っ、自分で最高だって言ってたじゃねえか……っ」 「それはそれ、これはこれです。直人さん、今、あなたの先端を擦っているのは僕の指ではありません。どこの誰が作ったかも分からない無機質な突起だ。……それに、あなたの一部がこんなに淫らに反応しているなんて、……許しがたい」 レオンは、忌々しげにオナホールをベッドの下へと投げ捨てた。 「ひ、……あっ、……お前……っ!!」 前方の刺激を突然奪われ、中途半端な快感に取り残された直人が声を上げる間もなく、 レオンは直人の逞しい身体を強引にひっくり返し、正面から組み敷いた。 「……僕の指と、僕の舌と……僕の熱だけで、イってください。不純物は、もういらない」 レオンは直人の先端を自身の指で強引に、 かつねっとりと直接擦り上げ、 同時に再び自身の楔を直人の最奥へと、 先ほどよりもさらに深く、重く、叩き込んだ。 「ひ、……ああああぁぁぁぁっ!!!」 「……そうです、直人さん。……僕の声だけを聞いて、僕の熱だけを感じて……。……あなたを壊すのは、世界で僕だけでいい」 嫉妬に狂ったレオンの執拗な愛撫は、 道具を使っていた時よりも遥かに密度を増し、 直人はもはや思考を維持することさえできなくなった。 5. 結末:搾取のあとに残るもの 数分後。 直人は、一滴残らず絞り取られた廃人のような姿で、 ビクビクと小刻みに震え、虚空を見つめていた。 その瞳には、もはや焦点すら合っていない。 「……素晴らしい体験でした、直人さん。やはり、僕たちの愛に余計な仲介者は必要ありませんでしたね」 満足げに直人を抱きしめ、首筋に鼻先を埋めるレオン。 その腕の中で、直人は消え入るような声で呟いた。 「……おれが、……バカだった……」 少しでも楽をしようと買い与えた玩具が、 かえってレオンの独占欲を暴走させ、 自分の首をさらに絞めることになったのだ。 寝る時間を確保するどころか、 新しい「遊び」と「嫉妬の種」を教えてしまった自分を呪いながら、 直人はレオンの熱に浮かされるように、気絶にも似た眠りに落ちた。 一方のレオンは、眠る直人の頬に優しくキスをし、幸せを噛みしめていた。 (直人さん、あんなに恥ずかしがって……。本当は、こうして僕だけにめちゃくちゃにされたかったんですね) 二人のズレは、最後まで埋まることはなかった。 けれど、直人を一滴残らず搾り取ったレオンの顔には、 この世の春を謳歌するような、満面の笑みが浮かんでいた。

ともだちにシェアしよう!