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第10話 スコーンと床が抜けた感じ①
「……上条さん、寝顔もかわいー」
ぽつりと呟き、俺の腕の中でスヤスヤ眠っている上条さんの顔をまじまじ眺めた。
エッチして、テレビでお笑いの動画とかイチャイチャしながら観て、歯磨きして、二回戦して。そんで、上条さんの方が先に寝落ちた今だ。この前初めてエッチした時は俺が寝かしつけられて、朝も上条さんの方が早く起きてたから、こうしてまじまじ寝顔を見るのは初めて。
「はー、好き。かわいー。大好き」
あまりにも語彙力が無い。上条さんに辞典買えって言われたから買ってちょいちょい読んでるけど。つか、頭の中で浮かぶのは英語の方なんだよな。
"I love you."
"I wanna keep you."
"Don't leave."
とか。独り言だけど、上条さんに向けて言ってるから日本語に変換して口に出していて、結果ニュアンスがポロポロ抜け落ちたへたくそな言葉になる。辞典読んでて最近覚えた日本語だと『無二無三』がしっくりくるかな。唯一無二とか、ひとつに没頭するとか、そういう意味らしい。上条さんは俺にとって代わりが効かない、夢中になって没頭出来る人だから。
「……上条さーん。好き。好きです。めーっちゃ好き。大好き」
睡眠学習よろしく、抱きしめながら何度と『好き』と繰り返す。
『好きって言われると好きになっちゃうんだよな』と忘年会の日にぼやいていた上条さんを頭に思い浮かべて、ふっと口角を上げた。
DEAR、当時の上条さんの元カレさま。お元気ですか? 結婚したらしいですが、その女性は上条さんより素敵な人ですか?
なワケねーだろ、バーカ。ざまーみろ。ああいや、ありがとうございます。おかげさまで俺は幸せでーす! CHEERS!
「う……しもせ……苦しい……」
心の中で上条さんの元カレを煽っていたら、寝ぼけた上条さんから目を瞑ったまま声を掛けられた。ふっと腕から力を抜く。
「あっ、すんません、強く抱き締めすぎました!」
「おー……さっさと寝ろよー……」
「はーい。上条さん、大好きです。おやすみなさい」
ちゅ、と額におやすみのキスをする。目を瞑ったままに、上条さんの口角がふっと上がった。
「んー……俺も好き……おやすみ……」
寝ぼけながらも返してくれる『好き』が幸せだ。好きって言えば好きになってくれる。じゃあ毎日好きって言えば、ずーっと好きで居てくれる。俺も目を瞑って、上条さんの『好き』が欲しくなった日をぼんやりと思い返しながら眠りに就いた。
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