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 (ジォウ)(ひょう)は歳も離れていて持ち味も真逆だ。(ジォウ)は男らしく精悍なイメージだし、(ひょう)は体格も華奢で可愛らしい雰囲気だ。となれば、年上の(ジォウ)(ひょう)を可愛がり包容力で包み込むという間柄であれば、ファンも二人を応援したい気持ちにさせられるかも知れない。 「お前ら、我が事務所が巷でギムナジウムと呼ばれているのは知っているな? つまり、ファンはこのカップリングモデルというシステムに特別な感情を持っている者も多い。ウチは全て男性オンリーだから、男女間の恋愛という点で直接は結びつかないが、同性同士が男女の立ち位置を疑似恋愛で魅せるというファンタジックな要素が人々の心をくすぐるわけだ」  カップルたちに自己の恋愛観を投影して、二人がラブラブだと嬉しいと共感するファンも多い。逆にカップルたちの片想いがなかなか実らなければ、見ている者にとってはヤキモキとさせられる。ファンの望む通りのコンセプトを打ち立てられれば大成功となるが、路線を間違うと期待外れと言われ、一年間の売り上げにも影響してくる――とまあそんな具合なのだ。だからこのカップリングコンセプトを決める今が一番重要なのだとレイは言った。 「(ひょう)が片想いをして(イェン)が冷たくあしらうってのはナシだな。あんなに一途で可愛い子に冷たくするなんて! ってな具合でファンもガッカリだろう。ここはもう(イェン)(ひょう)のことを可愛くて可愛くて仕方ねえってのを強く押し出す形の溺愛系でいこうじゃねえか」  どうだ? と、レイが二人を見やる。 「いいんじゃねえか? 俺に異存はねえ」  (ジォウ)が快諾すると、(ひょう)も「精一杯(ジォウ)さんについて参ります!」と言ってうなずいた。 「よし! じゃあ雪吹(ふぶき)、これから一年間よろしくな!」  早速溺愛の如く、(ジォウ)に肩を抱き寄せられて、(ひょう)は一気に頬を紅潮させた。 「よ、よろしくお願いします。あの……周焔(ジォウ イェン)さんの足を引っ張らないように一生懸命やります!」  (ひょう)(ひょう)で、またしても人形よろしくガチガチに硬直している。まあ十歳も歳上の(ジォウ)が相手ではそれも致し方ないといえるが、(ジォウ)にとってはそんな態度も素直に可愛いと思えるのだった。 「バッカ、そう畏まるなっつったろ? 俺たちは今この瞬間から相思相愛の恋人も同然なんだからよ。どっちが上とか下とか、キャリアやレベルがどうのなんてのは気にする必要ねえ。誰がなんと言おうが、この俺がしっかり守ってやっから、お前さんは安心して俺の懐ン中でヌクヌクしてりゃいいのさ」  不敵に微笑みながらクシャクシャっと頭を撫でてくれる。(ひょう)は思いもかけなかった対応に、感激の面持ちでうなずいたのだった。

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