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「ジャングル……?」
半ばポカンと口を半開きながらもレイが瞳を輝かせる。
「続けてくれ、紫月 !」
どんな構想なのかと逸るように立ち上がってはワクワクとした表情で先を急かす。紫月 は存外真面目な顔付きで脳裏に浮かんだアイディアを話し始めた。
「ん、俺らの部門はアンダーウェアだから、その基本からあんまし離れ過ぎてもいけねえべ? だから俺と鐘崎 さんはジャングルに生息する動物に扮した衣装とかにすれば合うんじゃねえかと思うんだよね」
例えば鐘崎 のイメージならば黒豹などがぴったりではないかと言う。
「俺ン方は白豹とかでもいいし、それこそスクリーンにはジャングルの光景を映し出して、小道具とかでランウェイ上に植物を配置したりしてさ」
「なるほど! そいつぁ素晴らしい案だ! 森に生きる動物――黒豹と白豹が惹かれ合ってカップルになるって発想は斬新だ!」
レイはもちろんのこと、その場にいた鐘崎 も周 も冰 も、そしてデザイナーたちも思わず息を呑む。
「いいですね! 一之宮 さんのその案をお聞きして、アンダーウェアも粋でセクシーなデザインが浮かびそうですよ!」
デザイナーの頭の中にも既に続々と案が浮かび始めたようだ。
「基本となるアンダーウェアですが、今回はモデルのお二人がめちゃくちゃ男前ですからね。ボクサーショーツよりは色気を強調したビキニタイプで行きたいとは思ってたんです。動物を擬人化するという発想なら、それに合うようにトップスはワンショルダーで筋肉美を強調するデザインの物をこしらえてみたいと思います」
「ワンショルダーか! イメージとしては原始人が着ていたようなアレか?」
デザイナーに向かってレイが問う。
「そうです、そうです! ボディにもメイクを施して、鐘崎 さんは日焼け肌調のドーランを全身に塗って、一之宮 さんはスポットライトが映える白肌用のファンデーションで仕上げればどうでしょう」
「おう! そいつぁいい案だ。まさに黒豹と白豹の出来上がりってわけだ! 遼二 と紫月 もどうだ? それ以外にもお前さんたちの希望があればどんどん言ってみてくれ!」
レイはますますもって意気込みを見せる。鐘崎 も素晴らしい案だと言って、ジャングルコンセプトは満場一致の即快諾、決定となった。
「いいですね。他所 の事務所がどういったコンセプトで来るか分かりませんが、ジャングルの背景というのがまず斬新ですし、これなら他と被ることもないんじゃないかと思います。この際、黒豹と白豹で毛繕いをし合うような演出はどうでしょうか」
毛繕いという鐘崎 の発想に、レイも紫月 も素晴らしいと言って同意となった。
「よっしゃ! これでシチュエーションは決まったな。あとはランウェイ上で実際にどう動くかっていう振り付けと、表情なんかの細かい演技部分を調整していくとしよう。セリフの無いミュージカル仕立てにしてもいいな! 振り付けは綾乃木 が担当する。早速稽古場に実際のショーで使われるランウェイを作って、バックに流す映像の方も作成せにゃあな!」
レイのギムナジウムにはいくつかの稽古場が設られているが、特に周 らのようなトップモデルたちの為には他よりも機材の充実した広い専用のスタジオがペントハウスに設置されているのだ。そこに実際のショーで使われるのと寸分違わない大きさのランウェイを仮設して稽古に入るという徹底ぶりからして、レイの意気込みが感じられた。
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