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スーパーに着くと、二人は店長を訪ねて事情を説明。防犯カメラの映像を見てせもらえないかと頼み込んだ。ところが、二人の顔を見た瞬間から店長の様子が変で、何かに怯えるように挙動不審になり始めたことが気になった。周 が口にした「雪吹冰 」という名前を聞くだけでも耐えられないといったふうに身を震わせる。ついぞ黙っていられなくなったわけか、店長は土下座の勢いで驚くべきことを暴露してよこした。
「申し訳ありません……! 実は雪吹 さんは」
彼の話によれば、夕刻に冰 が店へ来たことは事実だが、その際彼が万引きを働いたという濡れ衣を着せて警備員に引き渡すように脅されていたというのだ。
「万引きの濡れ衣だと!? いったいどういうことです!」
「は――、本当に申し訳ありません! 数日前のことでした。今度雪吹 さんが来店したのを見掛けたら……彼が万引きをしたことにしてここへ連絡を入れろと言われまして……」
名刺を差し出しながら店長はガタガタと肩を震わせた。
「見るからにヤクザのような……危ない風貌の二人組でした。雪吹 さんはよく当店をご利用くださっておりましたし、私もお顔を覚えておりました。とてもおやさしそうな好青年でいらして、万引きで突き出すなど私も気は進まなかったのですが……従わなければ妻と息子に危害を加えると脅されまして、それで仕方なく……」
「冰 をそいつらに引き渡したというわけですか!?」
「はい……申し訳ありませんッ!」
「――ッ、それで、冰 を連れに来た警備員ってのはどんな野郎だった!? 防犯カメラに映ってねえのか?」
連れ去ったのは何時頃で、彼らが乗って来た車種などできる限り詳しいことを教えて欲しいと訊いた。
「は、はい……車は白のワゴンタイプでした。男二人でやって来て……警備員に扮していたのですが、この前名刺を持って来た二人とはまた違う男たちでした。顔は帽子を深く被っており、サングラスをしていたのではっきりとは分かりませんでした」
確かに防犯カメラにもその姿がチラリと映っていたが、顔の詳細までは確認できなかった。車のナンバーは当然か映り込んではいない。連れ去られたのは今から三時間ほど前ということだったから、冰 がスーパーに着いてから割合すぐということだろう。
「仮にそいつらが冰 を拐って逃走したとして、三時間あれば相当遠くへ行っちまってるだろう」
「あるいはこの近所にヤサがあって、そこに冰 君を監禁してるって可能性もゼロじゃねえな」
どちらにせよ、ある程度こういったことに慣れた者の仕業と考えられる。
「とにかく――この映像を借りて一旦事務所へ戻ろう。遼 の方でも情報が拾えてるかも知れねえ」
冰 を連れ去った男たちが道ノ瀬由羅 の雇った者だとすれば、素人ではないと思われる。店長の証言でも『ヤクザのような危ない感じの男たちだった』というし、ほぼプロで間違いない。周 と紫月 はすぐさま映像を持って事務所へと急いだ。
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