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無事に帰国した一同を待っていたのは、オーナー・レイからの安堵の言葉と一週間の労い休暇だった。と同時に、これまでは内密にされていたそれぞれの素性がレイの口から改めて告げられた。
まず、周 と冰 、鐘崎 と紫月 については香港を発つ際に知らされたそのままだ。
周 は香港マフィア・龍首 の頭領 次男坊。鐘崎 は極道鐘崎 組の嫡男で現若頭。紫月 は武闘一家に生まれ育ち『影の忍者』と異名を取る一之宮 一族現当主の一人息子。冰 は天才カジノディーラーであった亡き黄 氏を養父に持ち、周 家にも所縁のあった青年で現在は天涯孤独。
これだけには留まらず、レイの事務所にはそんな彼らの素性を支える者たちがいて、彼ら同様にモデルやスタッフとして潜り込む形で密かに各々の主人を見守ってきたということだった。
長い間、周 とカップリングモデルを組みながら常に衣食住を共にしてきた李狼珠 は周 の第一側近でいて、周 が香港を離れる際に共について来た精鋭だそうだ。広報をはじめとした諸々の事務を担当している劉 も同様にファミリーの一員でいて、周 の側近の一人である。医師の鄧浩 も周 の主治医として香港からついて来たファミリーで、表の顔はモデル事務所の専属医としているとのことだった。
同様に鐘崎 を側で支える役目を仰せつかったのは、同じモデル仲間として潜入している清水剛 と橘京 で、二人は組幹部だそうだ。また、昨年一年間を鐘崎 の相方としてカップリングモデルを組んでいた綾乃木天音 だが、実は一之宮 一族の専属医として代々仕えてきた家柄だそうだ。つまり、紫月 と綾乃木 はよくよく懇意の仲であったわけだが、表ではそれを微塵も感じさせないように振る舞っていたというわけだった。
これまで当人たちにも内密にしてきたすべての素性が明かされたことで、当然か皆は驚かされたわけだが、一番感慨深い思いでいるのはオーナーのレイだったようだ。
「いつかはこんな日が来ると思っていたが――これでお前さんたちもこのギムナジウムを巣立って行っちまうと思うと寂しい思いが拭えんな」
ポツリとそんなことを漏らしたレイに、周 らは不敵且つ頼もしい笑みで応えるのだった。
「誰が巣立つだって?」
「俺たちは年齢的にもまだまだモデルとしてあと数年は現役でいられるだろう。そう急かして追い出さんで欲しいものだな」
「そうそ! これまでだって表の活動と併せて裏の仕事もレイさんが取りまとめてくれてたわけだしさ。互いの素性がバレたからって今すぐ事務所を追い出すなんて言わねえでくれよなぁ!」
周 と鐘崎 、紫月 にそう言われて、レイはキョトンとしながらも瞳を輝かせた。
「じゃあ……お前さん方、これからもここに残ってくれるってのか?」
「当然!」
「もちろんだ」
「レイさんさえ良ければ是非」
紫月 はコミカルに親指を立てながら、周 はこれ当然といった調子で腕組みをしつつ『うんうん』とうなずき、鐘崎 も『よろしく頼みたい』と頭を下げる。
「そ、そうか……そうか! 皆、ここに残ってくれるか!」
レイは大喜びで、おおよそ似合わない感激の涙まで浮かべてみせた。
「よーし! 話は決まった! これからもますます、モデルとしても――それから本業の方でもよろしく頼むぜ!」
そうと決まれば今夜は宴会だと言って大いに湧く。まるで少年さながらのオーナーを微笑ましい思いで見つめながら、誰の表情も緑萌える芽吹きの如く爽やかな笑顔に包まれたのだった。
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