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「そういやお前さんには言っていなかったな。あの後、怪我が完治してから親父と兄貴がヤツの今後のことについて提案をしたんだがな。ヤツはお前さんの命を救ってくれたわけだし、性根は悪くない。これまでは確かに悪どいことにも手を染めていたのも事実だが、ヤツなりに苦労の多い人生を送ってきたようだったからな」
そんな境遇とロナルド本人の反省の意を汲んで、ファミリーからは今後の身の振りについていくつかの提案を示したというのだ。
「ひとつはファミリーに与して龍首の一員となり香港で生きていくこと。もうひとつはファミリーが所有する鉱山で採掘工として働くこと。もしくはファミリーとは全く関係のなくロナルド自身の望む人生を自由に生きていくことなどだが——ヤツが希望したのは鉱山で採掘工として生きることだったというわけだ」
「そう……だったんだ」
ロナルドの怪我が完治したことはギムナジウムにいる頃に周 から聞いていたのだが、その後どうしているかは常々気になってもいたのだ。まさか再び会えることなどないのだろうなとも思っていたが、龍首 の一員となって鉱山で生きているとは意外であった。
「つい昨夜だった。兄貴との電話で知ったんだが、ヤツの働きが評価されて、採掘工たちをまとめる班長に抜擢されたそうだ」
「うわぁ、そうなんだ! さすがロンさんだね。がんばっていらっしゃるんだね」
「鉱山には年に二度ほど兄貴や曹 先生たちが視察に訪れているんだが、お前さんが良ければ今度一緒に訪ねてみるか?」
「いいの? うん、是非連れて行って欲しいよ!」
「そうか。じゃあカネや一之宮 も誘って皆で行くか」
鉱山から掘り出した鉱石は龍首 所縁の工場で宝石に加工され、今では周 の商社でも扱っているのだが、それと同時に流通経路など鐘崎組の助力も得ているのだそうだ。当然、視察には組長の僚一 が顔を出していたそうだが、鐘崎 が若頭として正式に組に帰れば、今後の視察は若頭が担当することになるだろうという。
「四人で行くのはこれ以上ない理想的なメンバーといえる」
周 はまたひと口、紹興酒を含んでは笑った。
「そっかぁ、楽しみだなぁ。鐘崎 さんや紫月 さんと一緒にロンさんにも会いに行けるなんて」
冰 はグラスを両手で握り締めながら、心から嬉しそうに瞳を細めるのだった。
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