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ひらり——そよ風に乗ってどこからか白く可憐な花びらが皆の黒紋付の肩を彩る。
「お——! 花吹雪か。雅だなぁ」
紫月 が掌に桜の花びらを受け止めた時だった。
「若頭、ご帰還です!」
黒紋付の列の先端、遠目の組門から野太く粋の良い声が響いた。
ゆっくりと門が開き、黒塗りの高級車の扉が開かれる——。
最初に姿を現したのは正装姿のレイとその息子の倫周 だ。彼らに続いて垣間見えたのは、迎える皆と同様に黒紋付姿の堂々たる長身の若頭その人——。
「若 、お帰りなさいやし!」
花道を作っていた列が威勢の良い掛け声と同時に九十度に腰を折っては深々と首を垂れる。一糸乱れぬその様は、まさに壮観という他なく、ともすればランウェイの舞台上で演じられるショーや公演の如くだ。初めて体感する独特の空気感に、冰 などはそれこそ脚がガクガクと震え出してしまったほどだった。
皆、ありがとう。どうか頭を上げてくれというように自らも丁寧に首を垂れながら、迎えてくれる組員一人一人に会釈を交わし声を掛け、花道を進んで来る姿。一歩、また一歩と距離が近付くにつれて、紫月 もまた、高鳴り出した胸の鼓動に羽織の袖の中でキュッと拳を握り締めた。
堂々たる長身に纏った黒紋付の正装姿。艶のある黒髪はビシッと綺麗に、それでいて所々ラフにふわりと撫でつけられていて何とも艶めかしい。迎える組員たちを労うやわらかな笑顔が男前を更に引き立てて胸が躍るようだ。
半年前、ギムナジウムを去る前の晩に彼は云った。
俺が組に帰る日まで待っていて欲しい——と。
その時こそ友や同僚という間柄を越えて、生涯の伴侶として共に歩んでいきたいのだと、彼の真剣な眼差しがそう告げていた。
今、まさにその時が訪れたのだ。
離れて暮らした日々の切なさや、週末に手土産を持って実家へと帰って来る彼を迎える時の嬉しさと高揚。そしてまた休日が終わればギムナジウムへと帰って行ってしまう後ろ姿を送り出す際の寂しい気持ち。それらが走馬灯のように浮かんでは消え、また浮かんでは胸がいっぱいになる。
整列した組員たちにひと通りの挨拶を終えて目の前へとやって来た彼と目が合った瞬間に、痛い程に目頭が熱くなった。
「お帰り、遼 ——」
「ああ。ただいま、紫月 !」
見つめ合い、瞳を細め合った二人を祝福するかのように、満開の桜が花吹雪となって包み込む。手と手を取り合って固く握手を交わすその傍らで、周 と冰 もまた、二人の手の上にそれぞれの手を重ねる。
初めて顔を合わせた日も今と同じように見事な桜が満開の春だった。これからは本当の意味でのカップルとして生きていく若者たちを祝福するかのように、麗らかな春の陽射しが降り注ぐのだった。
モデルクラブG9 - FIN -
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♡お読みくださる皆様へ♡
お陰様で『モデルクラブG9』も無事に完結することができました。
この度も最後までお付き合いくださいまして誠にありがとうございます!
『極道恋事情』のモデルクラブ編ということで、本編とあまり変わり映えしない内容になってしまいましたが、ご覧くださいました皆様、コメントやリアクション等でお付き合いご交流くださいました皆様に心より御礼を申し上げます。
また妄想が湧きましたら恋事情の本編の方ででもお目に掛かれたらと思います。
ここまでお付き合いくださいました皆様に心からの感謝を込めまして。 一園木蓮拝
この後、番外編を3編ほど更新いたします。
こちらは他投稿サイト様の特典にて既に投稿済みの話となりますので、もしもご覧になられたことのある場合は重複する形となってしまいますが、申し訳ございません。
fujossy様では投稿していないのと、他サイト様のアカウントをお持ちでないお方もいらっしゃるかと思いますので、同じ内容ではありますが、こちらにも転載させていただきます。
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